「悠々自適?」家計調査に見るシニアの暮らしぶり 肉・魚・野菜をしっかり食べ、酒も飲み、教養にも投資

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(写真:metamorworks/PIXTA)

ドラマ「不適切にもほどがある!」で描かれる世代間ギャップが話題になっている。ドラマでは主にカルチャーギャップを笑いにしているが、世代間で経済的な暮らしぶりはどこまで異なるのか。本稿では670万人といわれる単身シニアの暮らしぶりを総務省の家計調査データ(※)で検証。34歳以下の平成生まれのシングルと、消費支出の内容を比較することで、実態を浮き彫りにしていきたい。

※集計された単身世帯数は650世帯。平均年齢は58.2歳。34歳以下が約10%、35-59歳が約18%、60歳以上が約72%

魚介類の消費額はシニアが平成世代の5倍近い

日本の食卓で欠かせないのは米である。シニアの年間消費額9615円に対し平成世代は3910円で4割の水準だ。パンはどうか。平成世代は9834円と米の2.5倍消費している。一方、シニアは1万7071円。こちらも米の1.8倍。コメ離れはシニアにも広がっている。麺類もシニアが上回っているが、唯一、カップ麺は平成世代が3955円でシニアの2726円を上回っている。

魚介類の消費額は、平成世代の8854円に対し、シニアは4万0964円。その差は4.6倍で、若い世代の魚離れが顕著に表れている。魚介類の中でシニアが好きなのは生鮮魚介で、2万0132円消費している。まぐろ、さけ、さしみ盛り合わせが人気だ。シニアのまぐろ消費額2545円に対し平成世代は371円。青魚のいわしは、シニア264円に対し平成世代はわずか7円しかない。

肉類はどうか。平成世代は2万0714円で魚介類の2.3倍だ。ただシニアは3万4240円で平成世代の1.6倍と、ここでもシニアに軍配が上がった。野菜・海藻は6万1569円で平成世代1万9935円の3.1倍、果物もシニアが3万5110円で平成世代6778円の5.2倍。牛乳やヨーグルトもシニアが圧倒的に多い。食卓の消費はシニアが平成世代をあらゆる面で凌駕している。

ここまでは食卓の内容を見てきたが、外食はどうだろうか。ここで形勢は一変する。平成世代の外食費はなんと22万6470円。ビジネス上の付き合いが多い35歳-59歳の18万8910円をも上回り、家食派であるシニアの8万2207円の2.7倍となっている。平成世代の外食人気ナンバー1は和食で2万7584円。

酒はどうか。酒類の消費総額は平成世代が9584円にとどまっているのに対し、シニアは2万5232円と2.6倍だ。もっとも外での飲酒代となると、平成世代が4万5557円でシニアの1万1004円を圧倒している。若者は外飲み、シニアは家飲みと正反対だ。

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