夫のきょうだいが敵に?相続で妻が迎えた結末 子のいない夫婦は遺言を残しておくべき理由

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一方、関係が悪く、長十年も音信不通で、権利だけはガンガン主張してくるような怖い姉や弟だったらどうでしょうか。今回のA子さんのケースは、まさにそんな姉と弟でした。A子さんは、話し合いどころか連絡を取ることすら嫌で嫌でたまりませんでした。

やっとの思いでこぎ着けた遺産分割協議の場で、A子さんの不安は的中します。

姉と弟:「私たちももらえるものはきっちりもらっておくわよ。法定相続分で平等に分けようじゃないのよ。不動産なんかいらないから、その分お金で分けてちょうだいね」

A子さん:「わ、わかりました……。(心の中では、何が平等によ!ふざけないで)」

A子さんは、夫の姉と弟のものすごい圧力に到底反論することもできず、さらには不動産は残ったものの、お金があまり手元に残らなかったという最悪の結末を迎えてしまったのです。

協議がまとまらない場合は裁判に発展するが…

ちなみに、A子さんが上述の申し出に納得できず、勇気を振り絞って反論したとしても、義姉と義弟も引き下がらないようであれば、遺産分割協議はいつまで経っても平行線のまま終わらず、預貯金の払い戻しや相続登記(=不動産の名義変更)といった相続手続きが一切進まないことになってしまいます。

また、協議がまとまらない場合には、遺産分割調停や審判(裁判)に発展することになりますが、結果的に(A子さんの望みに反する)法定相続分での分割で決着するケース(裁判例)も多いのです。

もしも、あなた(あるいはあなたの妻)がA子さんと同じ状況に陥る可能性がある場合、夫は例えば「財産はすべて妻A子に相続させる」内容の遺言を作るべきなのです(すべてではなく、きょうだいにも少しは相続させたいなら、その旨の遺言でOK)。

遺言を作れば、遺留分の問題はあるにせよ、原則その遺言のとおりに、遺産を分割、相続することになります。

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