ドミノピザ「鼻ほじ」バイトテロ騒動から得る教訓 バイトに倫理観を求めるのが間違っているのか…?

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また、和食チェーン「炭火焼干物定食 しんぱち食堂」のフランチャイズ(FC)店舗である宇都宮店(栃木県)でも、調理器具と思われる容器から、従業員の口に液体を流し込む動画が投稿された。これはFCのパート従業員3人が、昨年秋に撮影したもので、すでに1人は退職済み、残る2人は発表日の2月6日付で解雇処分となった。

同店の運営企業は「迷惑行為を行った当事者に対して厳正な法的措置をとる」といい、FC本部もまた運営企業に対して、「原因究明と再発防止が十分に行われない場合には、フランチャイズ契約を解約する」と申し入れたという。

思い出される昨年の「迷惑客テロ」

相次ぐバイトテロを受けて、先の「迷惑客テロ」と絡めた反応は少なくない。あれだけ外食チェーン店での不衛生事案が相次いだのに、なぜまた起きてしまったのかという論調だ。

そういえば筆者は2023年6月、スシローが損害賠償(後に取り下げて和解)を求めたという報道を受け、当サイト(東洋経済オンライン)に寄稿したコラム「スシロー、賠償請求も『非常識少年』また出る必然」で、このように予測していた。

「一時的に迷惑行為は消えるかもしれないが、数年も経てば『SNS空間の住人』は入れ替わる。単に『調味料のボトルをなめたら、数千万円も請求されちゃうんだ!』と印象づけたところで、『なぜダメなのか』が血肉になっていない人々がいる限り、根っこにあるものも変わらないのだ」

結果としては、「数年」が過ぎる前に、衛生面でのトラブルが再発している。

ひとつの理由として考えられるのは、不祥事の忘却サイクルが早まっている可能性だ。SNSのタイムライン上では、日々話題が消費されている。数カ月前のことですら、言われて初めて「そんなことあったね」と思い出すほど。倫理観ですらもカジュアルな位置づけになっているおそれはある。

もうひとつは、続報が伝えられないことで「どれだけ損害を与えても、代償を払わなくていいのでは」という認識が広がっている可能性だ。客テロの個別事案は認識していても、結局どうなったのかが伝わっていなければ、社会的責任を負わなくてもよいと錯覚してもおかしくない。

とはいっても、手ぶらで来店できる「客テロ」と、雇用契約を交わす「バイトテロ」では、実際に不適切事案を行い、SNS投稿するまでのハードルは異なるはずだ。なにか別の理由もあるのではないか。

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