「1社だけ異質な計画」サントリーがジン強化の訳 レモンサワー的な位置付けを狙っていけるか

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若い人の間で人気の平野紫耀さんを起用したCMで描かれているように、居酒屋をはじめとするカジュアルな業態で食中酒として楽しんでもらおうという意図を強く感じます。バー業態を念頭に置いているであろうプレミアムなクラフトジンであるROKUと明らかな違いです。

平野紫耀
リニューアルした翠ジンソーダでは若年層の取り込みを狙う(写真:サントリー提供)

翠ジンソーダはジンをベースにしているという点を強調してレモンサワーに代表される既存のチューハイではないことを示しているように見受けられますが、事実上チューハイジャンルに新フレーバーを持ち込んで勝負に出たということなのだと筆者は解釈しています。焼酎やウォッカではなく、ジンでレモンサワーに近いものを実現したと言い換えることができるかもしれません。

筆者が以前、指摘した(サントリー「一線を超えたビール」が意味すること)ビアボール同様、新しい分野に挑戦する「やってみなはれ」の精神がうかがえます。すっきりした、強すぎない穏やかな味わいでシチュエーションを選ばない新しいオルタナティブとして若い層を中心に人気が出るのではないでしょうか。

海外ではジンのソーダ割りはマイナー

一方、海外展開はどうでしょうか。前述の通り、ビームサントリーとして海外に展開していますから、世界的なジンの人気を背景にサントリーがこれらのジンをどこまで海外で展開できるかは気になるところです。率直なところ、筆者は翠に関してはこのままだと難しいと考えています。

海外だとジンはバーで親しまれており、人気なのはジントニックで、ソーダ割りの商品はかなりマイナーです。ソーダ割りにする場合は、ジンとソーダだけのプレーンなものではなく、果物を合わせるなどフレーバーを足して仕上げるものが多く、現状のままでは海外展開は難しいと思われます。

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