「1社だけ異質な計画」サントリーがジン強化の訳 レモンサワー的な位置付けを狙っていけるか

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サントリーに関して言えば、2014年にアメリカのビーム社を買収して世界第3位の蒸留酒メーカーになっており、上記2社と違って蒸留酒の製造・流通・販売にアドバンテージがあります。

現在、日本産ウイスキーが世界的に需要が高く、サントリーの山崎、白州、響も例外ではありません。これらは品薄状態が続き市場では定価を上回る価格で流通することも常態化しています。こういった状況をSNSで見かけた方も多いことでしょう。

世界的なジン人気を受けて、ジンを強化

ウイスキー人気が高いため、そちらに目が行きがちですが、サントリーは2000年代後半から続く世界的なクラフトジンの人気を受けて新たなブランドのジンを手がけてきており、2017年には「ROKU」、そして、2020年に「翠(すい)」、2022年3月にはソーダで割った「翠ジンソーダ缶」を発売。同商品は初速から好調で、販売開始から数週間で年間計画の6割を達成するほど人気となっています。

その後、リニューアルを重ねながら着実にマーケットに浸透してきており、大阪工場への投資も満を持してアクセルをグッと踏む段階に来たということを表していると考えるのが妥当でしょう。

戦略を発表するRLS事業部長の塚原大輔氏(写真:サントリー提供)

コロナ禍以降の家飲み需要増加を受けて、世界的にも蒸留酒の売り上げは拡大傾向にあります。こうした中、サントリーは国内ではハイボールを定着させ、高級品についても高い支持を得ています。蒸留所を閉鎖してウイスキー事業を縮小しているキリンとは対照的で、今後蒸留酒やRTD分野においてますます攻勢をかけていくことが予想されます。

昨年12月にリニューアルした「翠ジンソーダ」の缶を先日購入し試してみました。ジンの特徴であるジュニパーベリーの香りが弱めで、その代わりに柚子由来の爽やかな香りが強く感じられました。全体の印象としてまったく甘くないZIMAなどを想起させ、ジンのソーダ割りでありながらその姿はチューハイに近いものとなっています。

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