公認会計士が「監査業務から離れる」根本的な原因 中小型銘柄が「監査難民化」の危険に陥る背景

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第2に、公認会計士に監査業務は不人気で、監査業務の担い手が極端に不足している。故に低採算の中小型銘柄から採算がとれる会社に人員を振り向けざるをえないのだ。

監査業務は「単調でつまらない」と辞める若手

公認会計士は、公認会計士試験に合格し、監査法人などで3年間業務経験を積み、並行して公認会計士協会が実施する実務補修を受け、修了考査に合格すると登録が可能になる。

近年、若手の会計士は資格を取得すると監査法人を辞めてしまう。監査業務は「単調でつまらない」と考える人が少なくないからだ。

実は40代後半を境に、それより上の世代と、それより下の世代では、監査に対する価値観は180度異なる。40代後半よりも上の世代は、「昔は監査業務は面白かった」というのだ。

原因は2003年5月に改正された公認会計士法にほかならない。このときの改正で、監査の独立性の確保がより厳格に求められるようになった。

具体的には、監査先の経営判断に関わることや、財務諸表の作成作業への関与など、6項目が、監査証明業務とは同時提供できない非監査証明業務に指定された。この結果、同時提供できる非監査証明業務は、監査対象となる財務諸表の作成方法や、内部統制システムに関する助言・指導など、ごく限られた業務だけになった。つまり、経営判断に関わるコンサル業務ができなくなったのだ。

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