懸命に働く人に教えたい「社畜化」せず生き抜く術 経済評論家・山崎元が指南する「これからの働き方」

拡大
縮小

では、経済とは何かというと、主に生産と消費だが、「生産」は、「資本」と「労働」によって行われている。生産は必ずしも会社だけが行うものではないが、以下、会社が行う生産を考える。

資本とは、ビジネスの元手となる財産の総称だが、工場などの生産設備だったり、原材料や賃金を支払うための原資だったり、さまざまな形で存在している(図1)。

●図1

出所:『経済評論家の父から息子への手紙』

※外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

資本とは雑多な財産に貼られたラベルに過ぎない

生産は資本と労働によって行われる。一般論として反対はなさそうだ。では、「資本」の具体的な中身は何なのか。

商品を生産する工場があって機械を含む設備があればこれが資本の一部だというのは納得しやすい。商品の原材料も資本の一部だし、生産に必要なノウハウの特許、本社のビルなども資本の一部だ。

また、現金や預金もあるだろう。これは、原材料を購入したり、賃金を支払ったりするために使われるかもしれないし、生産設備に投資されるかもしれない。しかし、引き出されて株主が消費してしまうかもしれない。

「資本」とは会社の雑多な財産の集合体に貼られた単なるラベルのようなものだ(図2)。

●図2

出所:『経済評論家の父から息子への手紙』

「資本」自体に固有の意思や運動法則がある訳ではない。右も左も、経済学の多くの議論は、資本という言葉を曖昧に使って現実の説明に失敗しているというのが父の意見だ。

資本の持ち主である資本家から見て、資本となっているものの原資を誰が出しているかによって、銀行や支払いを猶予してくれる売り手などからの「借り入れ」である他人資本と、株式を通じて所有権のある自己資本の2種類がある。

次ページ資本から生まれる「利益」の実像
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT