宅配低迷のヤマト、国交省が下請けたたきで「勧告」 誤算続きで業績低迷、企業風土改革も急務

拡大
縮小

ヤマトは自社と協力会社の戦力で、宅配需要の増加に備えていた。しかし荷物量が想定を下回ったため、配送キャパシティが余剰な状態となり、結果的にコスト増となってしまった。

法人部門ではワクチン関連案件の減少や、国際輸送の運賃下落が影響した。主に法人顧客との交渉による単価上昇の効果や経費縮小、人件費の圧縮などプラス面もあったが、2023年10~12月期の営業利益は380億円と、前年同期比103億円の減益に終わった。

2024年1~3月期も荷物量の回復を見込むのは難しい。一方で委託費などの単価が上昇し、営業費用は想定を上回る見通しのため、ヤマトは再度、通期予想の下方修正に至った。

栗栖利蔵副社長は会見で「決算は満足のいくものではない。物量が落ちている状況でも営業力を発揮して、収益を高めることができる部分もあったのではないか」と振り返りつつ、「キャパシティを適正化する取り組み、業務量の下振れリスクへの対応をしっかりしていかなければならない」と今後の課題を語った。

国交省からの「勧告」

物量減という厳しい環境に加えて、足元は業界大手としての深刻な問題を抱えている。1月26日、国土交通省はヤマト運輸など2社に対し、貨物自動車運送事業法に基づく「勧告」を初めて行った。

問題視されたのは、協力会社に対して長時間の荷待ちや契約にない業務をさせたこと、運賃を不当に据え置いたこと、過積載の運行の指示、そのほか無理な運行依頼など複数にわたる。法令違反につながる行為が多数あったとして勧告し、公表するに至った。国交省は早急の是正と改善計画の提出を指示している。

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