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ヤマト「ネット通販増」で迫られた歴史的な大改革 宅急便が47年目に迎えたビジネスモデル大転換

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個人から企業へ主要顧客が変わり、自前主義からの脱却を進めている。

ヤマトのセールスドライバーは配達だけでなく、集荷や営業までこなすのが特徴だ(撮影:尾形文繁)

特集「ヤマト「EC大改革」の苦闘」の他の記事を読む

1976年1月20日生まれ。今年47年目を迎えた宅急便が、歴史的な転換点を迎えつつある。宅配便の元祖「クロネコヤマト」で知られる業界最大手のヤマトホールディングスが、ネットワークや現場、営業の改革を矢継ぎ早に打ち出しているのだ。

「顧客が変わってきているので、現場も変わらないといけない。これだけECの荷物のボリュームが増える中、同じでいいわけがない」

こう言い切るのは、ヤマト運輸で輸配送オペレーションを担当する鹿妻明弘専務執行役員。数多くの営業所を全国に配置し、正社員のセールスドライバーを置き、荷物を獲得する。ドライバーは配達だけでなく、集荷や営業もこなす。これがヤマト最大の特徴だ。ところがコロナ禍で激増したECの荷物は、従来の宅急便と勝手が違うものだった。

ヤマトは荷物の個数を増やしながらも、2021年度、2022年度と業績は2期連続の大幅減益に沈んだ。ECの荷物増に対応すべく、ネットワーク作りの先行投資や外部委託などを進めたことが要因だが、コスト効率化も遅れている。

単なる業務改善では到底追いつかない。苦しい中で大がかりな改革を進めている。ゲームを変えたのは紛れもなくECだ。この10年、取り扱い個数を伸ばしたのは大口顧客の荷物で、2012年3月期の5.2億個から、ECの伸びを背景に2022年3月期は12.2億個へ急拡大している。

拡大戦略とネットワークのずれ

個人向けのサービスとして始まった宅急便は現在、荷物の9割を企業発の荷物が占める。2017年にはEC荷物の急増で、ドライバーが休憩を取れないほどに現場が疲弊するまでになった。

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