敷島製パンが「おしゃれパンカフェ」始めた事情 季節のスープとスプレッドで差別化を図る

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実は同社、ベーカリーのノウハウはすでに持っている。1991年に名古屋の松坂屋で開業したフランスのベーカリーブランド「PAUL(ポール)」を、日本で運営してきたからだ。

2001年の東京・八重洲から多店舗展開を始めたのは、フランスの本体で経営者が交代した影響から。敷島製パンも、日本のフランスパンの常識を変える意気込みで、レアールパスコベーカリーズという子会社を設立した。思えばこの頃が本格派フランスパンの黎明期で、ポールもパンブームの土台の1つだった。

「ポール」を運営していた強み

プラスプレの現場は、レアールパスコベーカリーズのマーケティング部長として、ポールの店舗運営などを任されてきた人物が出向し、力を指揮している。つまり、この店にはパスコとポールのノウハウが投入されている。

ポールのノウハウで大きいのが、狭い厨房の活用法。面積は厨房と店舗が10坪ずつの合計20坪しかない。近年は、商業施設の厨房は狭くなる傾向がある。ポールは、数々の商業施設で厨房を設計してきた。

「業務用としては最小サイズの、コンベクションオーブンとミキサーを入れました。初心者の女性でも作業しやすいよう設計しています。蒸気の量、温度、時間も商品ごとにプログラムで設定しました」(栗田氏)。パン屋は体力も必要な商売だが、従業員の仕事を少しでも楽にするよう工夫したのだ。

オーブン
(写真:プラスプレ提供)
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