敷島製パンが「おしゃれパンカフェ」始めた事情 季節のスープとスプレッドで差別化を図る

拡大
縮小

確かに、パンの未来は安泰とは言い切れない。

例えば、山崎製パンの業績を見ると(敷島製パンは非上場)、足元では食パンや菓子パンの売り上げが好調で、2024年3月期は大幅な増収増益になる見通しだが、長期的な視点で見た場合、日本全体を襲う人口減という問題が重くのしかかる。すでに飲食分野では、若年層の人口増が続いているアジアなど海外に進出することで、将来的な国内事業の縮小への対策をとり始めている。

プラスプレ
プラスプレで絵は、パンのほかにデザートやスープ、パンに塗るスプレッドも提供している(写真:プラスプレ提供)

パンブームの反動と思わぬ影響

ここ10年ほど、パンはさまざまなブームが起き、首都圏のパンイベントでは大行列ができる、全国に食パン専門店ができるなど話題を集めてきた。総務省の家計調査で見ても、パンの消費金額は2007年以降上昇が続き、2011年にはコメを抜いてニュースにもなった。

しかし、2010年代後半から糖質制限ダイエットやプロテインブーム、グルテンアレルギーへの注目など、小麦粉を使った製品には逆風が吹き始めている。コロナ禍では巣ごもり消費もあってパン市場は拡大したものの、ウクライナ戦争による小麦価格高騰もあって長期的には大きく伸びる市場とは言いがたい。

さらに、パンブームの影響もあり、スーパーなどで売られる袋パンよりチェーンを含むベーカリーでパンを買う人が増えたというデータもある。

中小企業ビジネス支援サイトの『J-Net21』が国内在住の20~60代以上の男女を対象に実施する、インターネット調査がそれ。対象者とアンケート項目等の違いがあるものの、2010年実施と2023年実施の結果を比べると、ベーカリー利用が増えたことがわかる。

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