みんな凸凹で当たり前、目指すは"一流のチョコ" 久遠チョコレートは社会貢献ブランドではない

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久遠チョコレートは、多くの名門チョコレートをプロデュースするトップショコラティエ・野口和男さんを始めとする、数々の人たちとの出会いを通じて成長してきた。

そんな恩人の一人だと僕が勝手に思っているのが、うめだ阪急のバレンタインイベントを担当するバイヤーの高見さゆりさん(前記事参照)だ。

テリーヌ型のチョコレート
久遠チョコレートを代表する商品「QUONテリーヌ」(写真:『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』)

高見さんこそ、走り始めてまだ2年目の僕らを、日本最大級のバレンタイン催事「バレンタインチョコレート博覧会」に呼んでくれた恩人。チョコレートのプロのなかのプロとも呼ぶべき目利きだ。

催事初参戦の不慣れな僕らは、前述のように生産が追いつかず陳列棚を空っぽにするという大失態を犯し、売り上げも目標の4分の1に留めてしまった。

当然、翌年はお呼びがかからないだろうと落胆していたところ、高見さんは「あなたたちのお菓子は美味しい。方向性は間違っていないから、来年こそ頑張ってください」と僕らに再び声をかけてくれたのだ。

カリスマバイヤーが大事にしている思い

高見さんが大事にしているのは、それぞれのブランドがどんな思いでチョコレートを作っているのか。

思いのないブランドは、たとえ前年の売り上げが絶好調だったとしても、催事に呼ぶことはないそうだ。バレンタインに代表されるギフトチョコレートは、大事な人に思いを伝えるものだからかもしれない。

駆け出しの僕らは製造も生産管理も力不足だったが、思いの熱さではどこにも負けない自信があった。

最初に催事へ呼ばれた時も、事前打ち合わせで僕が、「僕らは社会貢献ブランドではない。誰が作っているかで評価されるのではなく、美味しさだけで評価されたい。『思いは誰よりも熱く。やるべきことはシンプルに美味しいチョコレートを作る』が僕らのモットーです」と語ったところ、「面白い」と共感してくれたのだ。

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