みんな凸凹で当たり前、目指すは"一流のチョコ" 久遠チョコレートは社会貢献ブランドではない

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バレンタイン商戦は百貨店間の競争も厳しく、毎年同じ方向性で乗り切れるほど甘くはない。マンネリに陥ると消費者は飽きてそっぽを向いてしまうものだ。

リベンジマッチである2度目の催事に臨むにあたり、久遠チョコレートはどんな方向性を打ち出せるのか。

高見さんの問いかけに、たった6種類から始まったテリーヌチョコレートの種類をもっと増やし、日本中の面白い食材を組み合わせたチョコレートを1枚からバラで買えて、好きに組み合わせる「日本再発見」というコンセプトを提示した。それも高見さんは「いいね」と面白がってくれた。

国内最大級のバレンタイン催事

現在では、うめだ阪急のバレンタイン催事のおよそ1ヵ月間で、2000万円ほどを売り上げるまでになった。

うめだ阪急催事の様子
2022年、国内最大級のバレンタイン催事である阪急百貨店うめだ本店「バレンタインチョコレート博覧会」では、1階正面入り口の幅15メートルものスペースに出店。チョコレートを1枚ずつバラ売りするスタイルの認知度も高まった(写真:『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』)

2022年の催事では、なんと本店1階の正面入り口のいちばん目立つところに、久遠チョコレートがドーンと出店。売り場の横幅は長さ15メートルもあり、豊橋本店より遥かに広い規模での展開だった。少しずつ自信がついてきたとはいえ、この時はさすがにドキドキした。

結果は大成功。1日の売り上げが200万円を超える日もあったのだ。

チャンスをくれた高見さんには感謝しかない。

温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来
『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』(講談社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
夏目 浩次 久遠チョコレート代表

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なつめ ひろつぐ / Hirotsugu Natsume

1977年、愛知県豊橋市生まれ。大学・大学院でバリアフリー都市計画を学ぶ。2003年、豊橋市において、障がい者雇用と低賃金からの脱却を目指すパン工房を開業。より多くの雇用を生み出すため2014年、久遠チョコレートを立ち上げ、わずか10年で60拠点に拡大。「凸凹ある誰もが活躍し、稼げる社会」を目標に障がい者をはじめ、生きづらさを抱える多くの人々の就労促進を図りながら美味しいチョコレート作りに奮闘する。第2回ジャパンSDG’sアワードにて、内閣官房長官賞を受賞。著書に『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』(講談社)。

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