超便利な「AI英語学習」で決定的に足りないもの AIツールを使っても英語力が身につくかは別

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さて、今回のテーマであるAI英語学習ツールについてですが、私の周りにいる英語教育業界・留学業界の専門家たちも「AI英語学習ツールは凄い!」「これまで人気だったオンライン英会話がなくなるかもしれない」と大絶賛です。

確かに考えてみたら、そうかもしれません。翻訳の精度があれだけ高ければ、受講生の英語レベルに合わせて対応するのはお手のものでしょう。そしてオンライン英会話サービスでは、それぞれの先生のパーソナリティや英語教育の経験やレベルに依存しますが、AIの場合はそれがありません。均一なサービスを受けられるという点でも安心感があります。

受講生にとっては、先生が生身の人間じゃないというのも良いのでしょう。相手は機械だから、どんなに下手な英語を話しても何も恥ずかしくありません。

もちろん、まだ進化の途中だから、痒いところに手が届かないところはあります。これから使い勝手がよくなってくれば、足りないところなどはオンライン英会話サービスと併用するなんてことも良いかもしれません。

人を行動に駆り立てるのは「必然」と「欲望」

では、AI英語学習ツールは万能なのかと言ったら、そうではないと思っています。

「必然」と「欲望」というのは、私がいつも書いていることですが、AI英語学習ツールがダメというわけではなく、ツールがどんなに良くなっても、使う必然や、使いたいという欲望がなかったら使わないということです。

例えば、私たちが普段使っているワードやエクセルだって、機能の何%を使っているでしょうか? もしかしたら10%も使っていないかもしれませんよね。ツールとしてはどんどん便利になって、あれもできる! これもできる!と進化していはずですが、そこまでのレベルの機能を使う必然や欲望がなければ、それは宝の持ち腐れです。

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