元日の「格付け」とGACKTに包囲網が敷かれる理由 マツコ、ハモリ、ドリフ、レア映像で肉薄できるか

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テレビ東京は「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」(18時~22時)を放送。ゲストに長嶋一茂さん、佐藤隆太さん、佐藤栞里さんを迎えて、パワースポットをめぐる開運バイク旅が見られるようです。同番組は2019年から正月三が日ゴールデンで放送されてきましたが、元日は2022年に続く2度目であり、“特に何かを推さない”というテレビ東京らしいマイペースさが感じられます。

年始の若年層狙いはますます困難に

最後にNHK総合は「タモリと鶴瓶のテレビDEお正月2024」(19時20分~20時20分)を放送。あいみょんさんをゲストに迎えて、「お正月のテレビ」をテーマに懐かしい番組などをピックアップしていくようです。NHK総合は2016年以降、正月三が日に「ブラタモリ×鶴瓶の家族に乾杯 新春スペシャル」を放送してきましたが、今回は“レアな過去映像推し”というアレンジを加えてきました。

あらためて「芸能人格付けチェック!」に挑む各局の戦略=“推し”をまとめると、日本テレビがマツコ・デラックス推し、TBSが豪華俳優推し、フジテレビが昭和のスターとコント推し、テレビ東京が推しはなし、NHK総合がレアな過去映像推し。各局ともに「中高年層を手堅く拾って視聴率を稼ごう」という意図が感じられます。

たとえば、日本テレビは女性層を中心に若年層もターゲットに入っているものの、目玉のマツコさんは51歳。やはり「中高年層にも強いマツコさんに頼りたい」という姿勢が見えます。ある民放の編成担当、バラエティプロデューサーの2人と話していたとき、「ふだんより年始のほうが若年層をつかむのが難しい」「みんな休みのときほど趣味嗜好の合う人と同じものを楽しもうとする」「特に関東地区の若年層は難しく、40~60代を狙わざるを得ない」などの本音を語っていました。

まずは「テレビをつける」「チャンネル権を持つ」であろう40~60代が関心を持てる特番を用意し、ただ10~30代の個人視聴率も獲りたいので、彼らにも知名度のあるタレントをキャスティングする。できるだけ3世代一緒に見てもらえる可能性が高い構成・演出を心がけ……それが「マツコVS最強女子軍団」「人気俳優のゲーム」「ドリフコントに香取慎吾や佐々木希」なのでしょう。

しかし、元日に限らず正月番組のトップである「芸能人格付けチェック!」の壁は高いだけに、他局の包囲網がどれだけ通用するのかは未知数。視聴率だけでなく、Xのトレンドランキングなどもチェックしながら楽しんでみてはいかがでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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