冬場の心筋梗塞「家の中での寒暖差」に要注意 浴室だけでなく「トイレ」にも気を配りたい

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(画像:『弱った心臓を元気にする方法』)

冬は、夏よりも急性心筋梗塞の発症率が高まる最も危険なシーズン。その理由は、寒さにさらされることで起こる血圧上昇によって、心筋の仕事量が増加したり冠血流が低下したりすることに加え、呼吸器感染にともなう心筋虚血の増悪などが強く誘発されるからです。

とにかく冬は心臓にやさしい生活を

これは、夏と冬を比較した心筋梗塞発症の増加率のグラフです。北半球は、1月を中心とした冬季が、急性心筋梗塞に注意すべき季節であることが一目瞭然です。また、急性心筋梗塞に限らず、虚血性心疾患による死亡や心筋梗塞の発症、病院外での心停止、冠動脈疾患による突然死など、冬は心臓に対する多くのリスクを増加させる傾向にあります。

家の中でも、暖かいリビングから寒い浴室やトイレなどに移動したときには、その気温の変化に気をつけること。また、「ちょっと新聞を取りに行くだけだから……」と薄着で外に出るのも、ヒートショックを引き起こす条件が整うため、厳禁です。短時間でも、上着を羽織るなどして寒暖差が大きくならないようにしましょう。冬場は、いつも以上に心臓のことを気にかけた生活を心がけましょう。

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上月 正博 東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長

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こうづき まさひろ / Masahiro Kouzuki

医学博士。日本心臓リハビリテーション学会名誉会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。1981年、東北大学医学部卒業。東北大学大学院内部障害学分野教授、東北大学病院リハビリテーション部長等を歴任。2022年より現職。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とする。2013年、日本心臓リハビリテーション学会学会長。2018年には腎臓リハビリテーションの功績が認められ、心臓や腎臓の分野に貢献した科学者に贈られる世界的に名誉ある賞「ハンス・セリエメダル」、2022年には「日本腎臓財団功労賞」を受賞。

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