M-1で令和ロマンが発揮した「高度な衣装戦略」 ビジネスパーソンも活用できる「見られ方」の視点

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もちろんビジネスシーンで真似できる着こなしではありませんが、自身の見られ方を意識した「服選びのヒント」になるはず。そして営業職の方は、色彩心理学を活用した「ネクタイ選び」をすでに実践されているかもしれません。

たとえば女性が多い取引先に伺うときは、親しみやすいピンク色のネクタイを締めるケースは定石ですし、説得力を増したいときは「茶色が好ましい」と言われています。というのも「盤石な地盤を感じさせる大地の色から、相手に安定感を印象づけやすい」から。

ちなみに令和ロマンのツッコミ担当である松井ケムリさんもブラウン系のコーディネートでした。ガッチリされた体形にあわせたブラウン配色の衣装は、色彩心理という視点からも「安定感を生みだす」色遣いだったのです。

ヤーレンズの衣装の「ほどよい違和感」

一方、準優勝されたヤーレンズのボケ担当である楢原真樹さんの衣装は、アスコットタイに短丈ジャケットを合わせたもの。色遣いや質感という視点では、全身に馴染んだコーディネートですが、日常生活では見かけることがない短丈のジャケットとアスコットタイの奇抜さが、「ほどよい違和感」を残していました。

そしてこのなんとも言えない違和感を、審査員であるサンドウィッチマン富澤たけしさんは「パッと見たら、なんかスーツ短いし」という言葉でツッコみ、その次にコメントを求められた海原ともこさんの第一声が「インチキマジシャンみたいな感じ」という印象の言語化だったのです。

まさにヤーレンズさんの面白さを、衣装面からも、伝える秀逸な表現だと私は感じました。クセのあるキャラクターを見事に演じていた表現力を、あの衣装がサポートしていたことが窺えますよね。

そして、ここから我々が学べるポイントは、「ビジネスシーンにおいても、無意識レベルで印象の言語化が行われている」可能性です。

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