クリスマスチキン戦線開いた「モスチキン」の軌跡 「チキンの向き」にも影響した、社内体制の変化

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これにより、客が商品を知ってから、購入し、口に入れる瞬間までのシチュエーションを想像し、商品開発を行うことができるようになったのだ。

客から見れば、プロモーションも含めて商品を楽しみながら、購入したあとは余計な手間などに阻害されることなくおいしさを味わえる、ということだ。

上述の「ホット スパイスモスチキン」のほか、2022年7月に期間限定で発売し、350万食を販売した「白いモスバーガー」、ついに月見戦線に参戦した商品「月見フォカッチャ」なども、プロダクトマーケティングによる商品だ。

左:2022年7月に期間限定で発売し、350万食を販売した「白いモスバーガー」500円。2023年7月にも復活している/右:バーガーチェーン各社が繰り広げる月見戦線に、2022年に初参加。「月見フォカッチャ」580円 ※価格はいずれも改訂後(写真:モスフードサービス)

これらの結果、モスフードサービスのコロナ前の売上2019年3月期売上高662億6400万円に対し、2023年3月期の売上高は850億5900万円、店舗数1300店舗(11月末現在)となっている。テイクアウト率がもともと高く、コロナ禍で強みを発揮できたという理由もあるが、同社がおいしさへのこだわりを、消費者に向けて多面的に伝えられるようになったことも大きいと考えられる。

チキンの「上下の向き」が変わった

そして体制変化による影響は、1本売りのモスチキンの包装にも及んでいる。

モスチキンの包装は袋状で、真ん中あたりに横方向に切り取り線が入っており、袋の上部を取り除くことで、手を汚さずに食べられるようになっている。

その袋に入れられているチキンの、上下の向きが変わったのだ。

従来は、取手になっている骨の部分が上になっており、袋の空き口を折り返してあった。つまり骨を持って食べるには折り返した部分が下になる。そのため、骨を持って食べられるという特性が客に伝わりにくかった。袋に説明書きもあったものの、気づかない人が多かったのだ。

現在は、骨の部分を下にして入れられており、さらに内部にあるチキンの絵が袋に書いてあるので、わかりやすくなった。

モスチキンの包装は袋状で、真ん中あたりに横方向に切り取り線が入っており、袋の上部を取り除くことで、手を汚さずに食べられるようになっている(編集部撮影)
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