財界人秘書は見た!一流の「存在感」の正体 意外なところに"共通点"があった

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N氏は、以前はニューヨークの超名門ホテルの支配人を務め、その後、ホテル西洋の初代総支配人として招かれた人物です。その頃は差別的な理由もあったのでしょうが、それまで米国で東洋人が名門ホテルの高い地位に就くことはまずなかったそうです。しかし、それを乗り越え、異例のスピードで日本人として初めてその地位に就いたのです。その経緯を評価されて初代総支配人として迎え入れられたのでした。

初めてお会いしたときには、「この人すごい」とすぐに感じました。その洗練された態度や振る舞い、全体から漂う余裕にノックアウトされたような気分で、こんな立派な人が総支配人であるホテルで働ける誇りを身の内に感じたものです。そう感じたのは私だけではなかったでしょう。周囲の同僚や諸先輩はN氏を非常に尊敬していましたし、「初めて会ったときにはびっくりした」「あんなオーラを持つ人にはかなわない」とよく口にしていました。

「社格、職位にふさわしい存在感」は米国では常識?

このような、人の上に立つ人や、人に影響を与える立場の人にふさわしい雰囲気や格、オーラのようなものを、米国では「エグゼクティブプレゼンス」と呼び、経営者やトップに必須の資質としています。それは、人に与える印象の違いが、人の考えや判断に影響を与えることが、よく知られているからです。

周囲から軽んじて見られるようでは、地位も上がりませんし、人を動かせません。仕事の能力や経験を身に付けるのと同様に、自分の立場や役割にふさわしい雰囲気を身に付け周囲に示していくことは、欧米社会ではむしろ当然の感覚です。厳しい米国社会では、印象管理の力もマネジメント力のひとつとしてカウントされるため、いかに能力があると主張しようとも、成功するチャンスは制限されてしまうのです。

前述のN氏からも「あちら(米国)では見た目も大事だから、だいぶ背伸びをしたこともあった」という言葉を聞いたことがあります。つまり、エグゼクティブプレゼンスのことを言っていたのです。

N氏が米国で確固たるキャリアを築き、注目されたホテルの初代総支配人を任されたのは、氏の純粋な仕事の実力ももちろんあったはずですが、周りが納得するに十分な雰囲気を持っていたことも理由からはずせないでしょう。そして、それは「たまたま、そうした雰囲気の持ち主だった」という先天的なものではなく、彼がそれを身に付けることを意識していたのです。

身に付けるというのは、実はそれほど難しいことではありません。一流の人は、決まって同じことを意識しているので、その基本さえ押さえれば、好印象を与えられ、信頼を持ってもらえることができます。

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