新NISAで腹落ちできる「絶対的に正しい運用方法」 複数の投資信託は不要、「たった1本」で十分だ

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金融庁はつみたて投資枠の商品を、長期の資産形成に向いたものに限定して制限している。では、投資の時間が数年単位の短期ならよりいい商品と投資方法があるかというと、上記の(A)(B)より、それは不可能だ。つまり、長期でダメな運用商品は、考えるまでもなく短期でもダメなのだ。

幸いなのは、ベストと思える商品が、つみたて投資枠の選定商品の中にあることだ。

生涯投資枠は1800万円と使い出十分、随時解約も可能

(3)生涯投資枠1800万円

1人で合計1800万円まで(取得価格ベース)投資可能だ(うち「成長投資枠」1200万円まで)。

入金可能額が年間360万円までなので、5年間ほどは投資家の制約にならないが、NISAで投資できる総額は1人1800万円となる。誰にとっても十分とは言えないまでも、総枠として相当に使い出のある金額だろう。

なお、つみたて投資枠は事実上1800万円まで使えるが、成長投資枠は240万円の5年分である1200万円が使用できる上限となる。

なぜこのような制限が設けられたかというと、年間240万円までの入金という制限があるとはいえ、売っては買い直すといった売買が増えることを、金融庁は好ましくないと見ているからだろう。原則論としてはそのとおりだ。

(4)随時解約可能

部分・全体いずれの解約も随時可能だ。これはNISAの利用上のメリットとして、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型確定拠出年金にはない特色だ。

年金の運用資金は、将来の生活資金として重要なので安易に引き出して使うべきではないという意見には一理あるが、そうは言っても、自分の運用資産を引き出してお金を使いたいと思う場合があるかもしれないのが人生だ。

このメリットをどう評価するかだが、運用資産額がまだ大きくない若い頃はこうした自由度を必要とする可能性が大きいだろうし、また確定拠出年金の掛け金に対する所得控除のメリットは適用される所得税率の影響を受けるので、年齢が進んでからのほうが大きいかもしれない。

後述のように長期投資が好ましいし、確定拠出年金の掛け金所得控除のメリットは大きいので、投資と生活設計の堅実性の面からは両方をできるだけ大きく使うことが望ましいかもしれないが、利用のコツとして「若い頃はややNISA重視、年齢が進んだらiDeCo優先」といった傾向はあるかもしれない。

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