松屋「焼肉タレ英訳騒動」で批判集めた意外なもの SNSでの盛り上げ施策より消費者が気になるのは…

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この呼びかけに対して、「翻訳のプロに頼めばいいのでは」といった冷ややかな声もあるが、純粋に改名案を挙げるユーザーも続出。

「表記がわかりづらい」との指摘が話題となった直後、すぐさま動いたことにより、一般ユーザーの投稿をふくめた「仕込み」や「やらせ」といった、いわゆる「炎上商法」を疑う声もゼロではないが、おおむね好評なようだ。

松屋の焼肉タレの英訳
英訳がすべて「Yakiniku Sauce」。写真は2023年11月14日時点のもの(編集部撮影)

消費者を巻き込むSNSマーケティングは、諸刃の剣ではありながら、もし成功すれば、新たなファン獲得や、既存ファンの親密度を高められる余地がある。企業のPR戦略としても、大いに参考になる事例になりそうな印象だ。

噴出する券売機への不満、思い出される過去の黒歴史

ところが、X(旧ツイッター)を離れると、異なる声が浮かんでくる。どういうものかと言うと、今回の施策とは関係のない、「券売機」への苦言が、ニュースサイトのコメント欄で多く見られるのだ。

松屋において券売機は、ここ最近、消費者軽視ではないかと受け止められてきた事例だ。かつては商品別のボタン式だったが、タッチパネル方式になってから、操作が難しくなったとの声がでてきた。

UI(ユーザーインターフェース)の観点から、「一覧性がない」「何度も繰り返しタップする必要がある」といった指摘が相次ぎ、改良を経た今なお、不満のSNS投稿は絶えない。つい先日も、スマートフォンによるモバイルオーダーを勧める店内POPに、「操作が煩雑で、渋滞ができるからでは」とのヤジが飛んでいた。

券売機への積もり積もった不満が、焼肉のタレの英語表記の騒動にも飛び火してくる。まるでそれは、「SNS上の小手先の施策よりも、もっと大事なところを改善してほしい」……という消費者の叫びのようにも思える。

そんな現状を打開できるかもしれない英訳公募だが、先ほど筆者は「消費者を巻き込むSNSマーケティングは諸刃の剣だ」とも指摘した。その一例として、かつて松屋自身が経験した炎上が挙げられる。もはや「黒歴史」といえる、カレー終売騒動だ。

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