11月から急増!「冬の食中毒」の正しい予防と対策 高齢者は重篤化、下痢や嘔吐で苦しむ人も

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また、ノロウイルスに限らずこうした感染症には“罹りやすい人”がいるのも事実だ。

「ノロウイルスに何回も罹る人たちは、細胞にある受容体の関係でウイルスが身体に入ってきやすいタイプと考えられています。反対に、なぜか全然罹らない人もいますが、そのときの個人の免疫や体調によるところも大きいです」

農林水産省も体調が悪いときは特に、二枚貝を生で食べるのは避けるよう警鐘を鳴らしている。

手洗いが有効

インフルエンザや新型コロナウイルスのようなワクチンがないノロウイルス。だからこそ、自分の身は自分で守るしかない。

「まず知っておいてほしいのは、アルコール消毒が効きにくいということ。新型コロナの流行でアルコール消毒を習慣にする人が増えましたが、ノロウイルスにはほとんど効果がありません。手についたウイルスの除去は、石けんと流水での手洗いが有効です」

トイレや帰宅のあと、調理や食事の前には必ず行おう。洗ったあとに使うタオルもこまめに替えて清潔なものを。

手洗いは最低でも30秒かけること。ハッピーバースデーの歌を2回歌うのを目安にすると◎。手の甲や指の間、親指、指先は洗い残しやすいので意識的に行って ※写真はイメージです(写真:週刊女性PRIME編集部)

もし、家族が感染した場合は、感染を広げないため、トイレや触った部分の消毒と嘔吐物の処理に細心の注意を払うことが大切だ。

「感染者が触った物を消毒するときは、ノロウイルスの不活性化に有効な次亜塩素酸ナトリウムを使用します。家庭用の塩素系漂白剤を薄めた消毒液で、代用ができます」

家庭用の塩素系漂白剤には次亜塩素酸ナトリウムが少量含まれている。また、可能であれば感染者とトイレや部屋を共有しないほうが、他の人への感染リスクを下げられる。

「感染者がやってはいけないことは、市販の下痢止めを服用することです。便に含まれたノロウイルスが腸内にとどまってしまい、症状が悪化します。ウイルスが腸内から排出されることで症状が良くなるので、トイレは我慢しないこと。

脱水症予防のためにも水分を多くとるようにしてください。感染がわかった時点で、市販の経口補水液を用意しておくと安心です」

症状が軽ければ病院に行く必要はないが、嘔吐や下痢が激しい場合は早めに受診を。

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