歴史と過去問に共通するもの、わかりますか? 読み書きそろばん以前の考えるトレーニング

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それはたとえば、

・新しいものを取り入れて変化を優先させるのか、昔からの伝統を守って変化しないことを選ぶのか?

・自分のグループだけの閉じた世界だけで解決すべきなのか?それとも他のグループも含めて開いた世界で解決すべきなのか?(たとえば国家間でいえば、移民を受け入れるべきなのか否か?等、会社でいえば新しい技術や製品を自社だけで開発すべきなのか?他社と共同開発すべきなのか?等)

・新しい革新的技術が登場したときに多くの人々が短期的・長期的にどのように反応するか?

・どんな時に独裁者のような絶対的なリーダーが現れるのか?そしてその良い点と悪い点は?

といったようなことで、このように問題の要素を抽象化していけば、歴史上の出来事で学ぶべきことは山のように出てきます。

歴史を学ぶということ

また、「昔と今とでは状況が違うからそう簡単に昔のことは参考にならない」という意見もあるでしょうが、これも対象を具体的にとらえるのか抽象的にとらえるのかの違いです。

たしかに昔は服装も違えばスマホも飛行機もなかったかもしれません。ただしそれはあくまでも具体的なレベルの話で、抽象度を上げて考えれば「構図は一緒」と考えることも可能でしょう。

なぜそのようになるのかといえば、人間の基本的な特性、たとえば死にたくないとか、家族を守りたいとか、より快適に暮らしたいという欲求は、100年や1000年のレベルではそう簡単に変わるものではないからです。

いかに歴史から学べるか?はこのような2通りの学び方を活用できるかにかかっていると言えるでしょう。

細谷 功 ビジネスコンサルタント、著述家

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ほそや いさお / Isao Hosoya

1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業後、東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社。2009年よりクニエのマネージングディレクター、2012年より同社コンサルティングフェローとなる。問題解決や思考に関する講演やセミナーを国内外の大学や企業などに対して実施している。

著書に『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』、『アナロジー思考 「構造」と「関係性」を見抜く』『問題解決のジレンマ イグノランスマネジメント:無知の力』(以上、東洋経済新報社)などがある。

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