「年末年始までに日経平均3万5000円」は可能だ 「イスラエル・ハマス情勢」の影響は限定的

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3連休明けの10日の市場は急落も懸念されたが、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の高官が今後の金融政策を緩和すると受け取られる発言をしたことなどを受け、日本株は大きく反発。日経平均は6日終値3万0994円に対し、12日には3万2494円まで3日間続伸、約1500円もの急上昇となった。この時点では、市場が「イスラエル国内での問題は収束する可能性が高い」と判断したからだった。

イスラエルとアラブ諸国の溝埋まらず

だが、アメリカのジョー・バイデン大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した翌日の19日から、株価は再度下落に転じた。

バイデン大統領はイスラエル訪問に際して、ガザ地区への人道支援に一定の道筋をつけたものの、イスラエルに向かう直前にガザ地区の病院で471人が死亡(パレスチナ保健当局発表)する爆発が起きたためだ。重要だったバイデン大統領によるヨルダン訪問は延期となり、イスラエルとアラブ諸国の溝はさらに深まった。

和平交渉のキーマンとなるはずの、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は3日間の服喪を宣言。バイデン大統領はヨルダンのアブドラ国王と電話協議し、イスラエルの後に計画していたヨルダン訪問と「4者協議」を延期せざるをえなくなった。

もし、アッバス議長、アブドラ国王、バイデン大統領に、エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ(シシ)大統領を交えた4者協議が実現していればどうだったか。アメリカは、アラブ諸国から「イスラエル支援一辺倒になっている」という印象を避け、パレスチナ人にも寄り添う姿勢を直接伝える絶好の機会だった。

だが実現できず、「中東での対イスラエル感情の悪化を食い止める」というアメリカの思惑どおりに事が運ぶかは見通せなくなってしまった。そのことが、早期停戦を願う株式市場参加者の失望を招いた。

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