検査不正後の三菱電機、工場で感じた「残念な点」 鉄道部品大手「再発防止策」は万全なはずだが

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1940年の生産開始以来、伊丹製作所でこのような視察会を実施するのは初めてという。今回実施した理由について、「よりオープンな工場を目指すため」と、同製作所を率いる都築貴之所長が説明する。「報道視察会でしっかりと情報公開して、お客様やパートナーのみなさまとオープンな関係を築いて社会のニーズを把握し、新しい技術を開発して社会に還元するというループを目指したい」。都築所長の挨拶の後、同社社員の案内で視察会が始まった。伊丹製作所ではどのような製品が造られ、どのような検査が行われているのか。

最初に訪れたのはショールームである。部屋のど真ん中には実物大の鉄道車両のモックアップが鎮座していた。中に入って車内や運転席の設備を見ることができる。床下に制御機器が設置されている様子もよくわかる。

三菱電機ショールーム 車両モックアップ
ショールームにある実物大の車両モックアップ(記者撮影)

受注製品の4割は海外向け

運転台は「次世代のコンセプトモデル」として、スイッチ類がタッチパネル化されており、運行状況や各機器の動作を監視するシステムや、運転士の状態を監視するシステムの実演が披露された。センサーが運転士の両目の状態を監視しており、たとえば顔がコクンとうつむくと、まず「ATTENTION (注意)」、その後「WARNING(警告)」といったアラートが表示される。「運転士の急変をリアルタイムで察知する」と担当者は説明していた。居眠り防止にも有効そうだ。

三菱電機 運転士の状態監視システム実演
運転士の状態を監視するシステムの実演。運転士に異常が起きると警告サインが表示される(記者撮影)
運転士の目の動きを追うセンサー
運転士の目の動きをセンサーが監視して警告を表示する(記者撮影)

車内には運行情報を表示する列車内の液晶モニター「トレインビジョン」が設置されており、路線図や列車の位置などが多言語で繰り返し表示される。日常の列車内で同様のモニターをよく見かけるが、あらためて説明されるとその仕組みがよくわかる。

このあと、ショールームでは制御機器や駆動機器の説明が行われ、その後に報道陣は制御機器の製造工場へと移動した。工場内には多数の組み立て中のさまざまな制御機器が整然と並べられ、スタッフたちが黙々と作業している。「この工場で国内向け、海外向け問わず生産している。あまり自動化せず人の手による作業が多い」と担当者が説明した。

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