スカイマーク、再建に垂れ込める暗雲 ANAと最大債権者の間に亀裂

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 5月26日、スカイマーク再建の雲行きが怪しくなってきた。写真は羽田空港の同社カウンターで2009年1月撮影(2015年 ロイター)

[東京 26日 ロイター] - 民事再生手続き中の航空会社、スカイマーク<SKALF.PK>再建の雲行きが怪しくなってきた。29日の東京地裁への再建計画提出期限直前に、同社の最大の債権者である米航空リース会社がANAホールディングス<9202.T>の参画に一転して「NO」を突き付けたためだ。

ANA以外に支援企業の選択肢はないとの指摘があるものの、ようやくまとまった再建計画が土壇場で迷走を始める恐れも出てきた。

「330」型機リースを巡る確執

はしごをはずされた――。スカイマークの最大債権者である米航空リース会社、イントレピッド・アビエーション<INTR.N>がANAに対して抱いているのはこんな思いだろう、とイントレピッドに近いある人物は話す。

同氏によると、両社の間に亀裂が走った背景には、スカイマーク破綻の引き金になったエアバス<AIR.PA>社製の中型機「A330」を巡る確執があるという。

イントレピッドはもともとスカイマークにA330型7機を今夏までにリースする計画だった。しかし、急激な円安でドル建ての航空機リース料や燃料費などの負担がかさみ、同社が破綻。この結果、イントレピッドにはスカイマークに対する債権およそ1000億円が回収できないまま残った。スカイマークの負債総額約3200億円(届け出による)の3分の1を占める。

この多額の資金をANAにA330をリースすることで取り戻す、というのがイントレピッドの希望で、同社関係者によれば、ANAとの間にはほぼ合意ができていた。しかし、先週、ANA側からリースへの同意を取り消されたという。これが今回、同社がスカイマーク支援へのANAの参画を拒否する直接の原因となった。

ANA側も、イントレピッドとA330型機について交渉していた事実は認めているが、協議の具体的な内容については「2社間での守秘義務があるので差し控える」(ANA広報)とし、「今後、交渉を続ける予定はなく、同機を導入する予定もない」と話している。

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