周防監督「裁判所はあなたを守ってくれない」 「それでもボクは会議で闘う」に込めた思い

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──期待が裏切られた?

「10人の真犯人を逃すとも、1人の無辜を罰するなかれ」という法格言を、国家権力はほとんど無視している。基本的に治安を維持するという面から行けば、10人の真犯人を逃すぐらいなら1人の無辜を罰したほうがいい、そのほうが社会は安定すると考えていることが、会議を通じてわかった。

裁判所は人権を守る「最後の砦」

忖度(そんたく)すれば、自分たちの仕事は日本の治安を守ることだという使命感がまずあるから、そう考えるのだろう。実際に現場の警察官が犯罪を摘発するときに、疑わしきは被告人の利益になどと考えながらではできないだろう。だからこそ検察庁や裁判所が機能しなければならない。特に裁判所は国の治安を守るところではなく、人権を守る「最後の砦」なのだということを自覚してほしい。

日本は民事を含め、NHKの誰かが言ったように「国が右と言っているものを左とは言えない」という風潮が裁判官、特に最高裁の判断にある。たとえば国が原子力発電所を推進すると言っているのだから、原発再稼働は許可できないという判決は出せないと考える裁判官が主流だろう。裁判官が三権分立で最後に拠るべき側は個人一人ひとり、つまり人権なのだ。そう裁判所が自覚していれば、捜査機関の行き過ぎも是正される。今は捜査機関の行き過ぎが裁判所によって承認されてしまっている。

──焦点は裁判所?

裁判所が変われば裁判は変わると思う。残念ながら僕は現状を大きく変えることはできない。ただ、多くの人に現状を知らせることはしたい。

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裁判所や検察に対して、僕自身は「10人の真犯人を逃すとも、1人の無辜を罰するなかれ」から出発してほしいと願っている。しかし、多くの日本人がそう考えるかどうかはわからない。「10人の真犯人を逃すな」という人が多いかもしれない。

だが、そう考えるとしても想像力を働かせてほしい。あなたもこの法格言と関係がないわけではないと。自分が真犯人でないのに捕まって、自分の権利が守られないという可能性はあるのだ。そのときにあなたはそれを受け入れられるのかどうか、考えてほしい。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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