「維新の党」、一見派手な新代表の意外な素顔 外見と態度には大きなギャップ

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ところが不思議なことが起こる。ある日、素子夫人の写真のほとんどが突然、ネットから消えてしまったのだ。ちょうどその頃、ある週刊誌が素子夫人の写真を探しており、あわてて対策を打ったのだろうか。しばらくして素子夫人の「前歴」が暴露された。

その記事によると、素子夫人は銀座のクラブの元ホステスで、松野氏が下戸にもかかわらずに通いつめて結婚した、とのことだった。

これについて松野事務所が「記事の内容は事実ではない」と編集部に抗議してきた。それを受けて、編集部側が一部誤りについて訂正を出そうとすると、「それはやめてくれ」と断ってきたという。当の担当編集者は「何のために抗議してきたのか」と首をかしげている。

民主党に見切りをつけて維新に合流

鳩山氏が首相を辞めた後は、松野氏は小沢一郎氏の側近として活躍した。2011年8月に行われた民主党代表選では、当時の党内で最大の勢力を誇った小沢氏が海江田万里氏と小沢鋭仁氏のどちらを代表候補に選ぶのか注目された。その際に小沢氏の伝令として動いていたのが松野氏だった。小沢事務所から出てくる松野氏に、様子を聞こうと記者たちが大挙して群がった。

まさに民主党のど真ん中にいたはずだが、松野氏は2012年には橋下徹大阪市長に接近を図る。劣勢だった民主党にさっさと見切りを付け、小沢鋭仁氏らとともに橋下氏の日本維新の会に合流する。落選すると噂されていた松野氏だったが、比例で復活。党内では国会議員団の幹事長(分裂の後に代表)の要職を務めるものの、2014年の衆院選では再度小選挙区で落選し、比例で復活している。

江田氏が松野氏を後継指名した時、これがネックになるかもしれないと囁かれた。だが民主党の海江田万里前代表も、2012年の衆院選で小選挙区で落選して比例で復活している。それに小選挙区当選者にこだわると、一気に当選3回の柿沢未途氏まで若返ってしまう。それでは党内の統制は取れないということで、松野氏におさまった。代表を辞任したものの、院政で野党再編を実現しようとしている江田氏が、松野氏の民主党人脈に期待したとも言われている。

始まったばかりの松野体制だが、5月20日の党首討論をネクタイをきちんと締めて無難にこなすなど、出だしはまずまず。ただし来年の参院選を5名の比例改選組を抱えて、どう乗り切るのかは全くの未知数だ。

橋下氏の政界引退宣言で、東西分裂が一気に進むとも言われている維新の党。これからしばらく松野氏にとって、その政治生命をかける毎日が続くに違いない。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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