「子どもを支配したがる親」が日常的に使う言葉 「いつか親も変わってくれる」という切ない希望

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自分が腹を立てたり身勝手なことをしたりしているのに、それには気づかないふりをし、子どもが悪いのだと決めつける親もいる(「わたしたちはいい親なのに、あの子たちは卑屈で情けないことばかりするの」)。

子どもの将来をわざわざ台無しにしようとする親はまずいないが、自分が不安を抱えていると、その否定的で望ましくない資質を子どもの中に見てしまうことがある。

これは、コントロールすることができない、強い心理的な防御反応だ。子どものころに親の欲求にぴったり一致する役割を見つけると、子どもは早急にその「役割としての自己」になりきる。だが、家族の中で求められる存在になっていく過程で、真の自己はどんどん見えなくなっていく。

そうして大人になったときに、親密な人間関係づくりができない可能性がある。「役割としての自己」のままでは、心から満ちたりた深い関係は築けないからだ。

「ありのままの自己」をきちんと表現できなければ、相手には共感してもらえない。共感がなければ、「役割としての自己」同士が仲よしごっこをしているだけだ。

精神的に未熟な親がわが子に仕かける罠

役割を演じる努力は、自分自身でいるよりもはるかに疲労する。また、あくまでも「つくりものの存在」なので、不安定で、いつ仮面がはがれるかとおびえてもいる。「役割としての自己」はいつまでも演じ続けられない。遅かれ早かれ、自分が本当に求めている欲求が湧き上がってくる。

子どものころの「役割としての自己」を大人になってからも演じ続ける人が多いのは、そうすれば我が身を守っていられるし、それしか周囲に受け入れてもらえる方法はないと信じているからだ。だが、演じることに真の自己がうんざりしてくると、思いがけない感情的な症状によって覚醒を促されることがある。

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