「子どもを支配したがる親」が日常的に使う言葉 「いつか親も変わってくれる」という切ない希望

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私のクライアントに、いつも周囲の人からどう思われるかを気に病んでいる人がいた。名前を仮にAさんとする。彼女は集まりなどがあると、相手の顔色をうかがい、不必要に気をつかい、拒まれるのではないかと不安になり、ヘトヘトになると言った。

彼女は、パニック発作をなんとかしたくて治療に訪れ(実際それはなんとかでき)、最終的には、子どものころに自分がいかに受け入れられていなかったかも理解するにいたった。彼女は亡き父から、自分が無能で愛されるに値しないという思いをいつも抱かされてきた。

Aさんの発作は、子どものころに信じていたこと――権威ある大人はつねに正しい――に疑問を抱き始めた兆候だった。パニック発作が覚醒を促してくれなければ、彼女は自分を卑下し、不安を抱えたまま他人の顔色をうかがい続けていたことだろう。

親ではなくひとりの大人として付き合う

精神科医のマレー・ボーエンによると、子どもが「個」として成長していくにつれ、精神的に未熟な親の思慮に欠ける行動が子どもを無理やりからめとり、それまでのパターンに引き戻そうとしていくという。そして、子どもがその罠にはまらなければ、そういう親は最終的に、さも誠実そうな方法に訴えてくるかもしれない。

冷静に観察するようになった子どもに対して、親が、子どものことを尊重したり、多少とも心を開いたりといった「らしくない温かさ」を示したら、くれぐれも注意すること。

さもないと子どもは、「親がやっと自分の望んでいたものを与えてくれるようになった」と思って、かつてのヒーリング・ファンタジーにまたがんじがらめにされてしまうだろう。だから、気をつけること!

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