「子どもを支配したがる親」が日常的に使う言葉 「いつか親も変わってくれる」という切ない希望

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相手の反応を見ながら、少しずつつくり出し、それが自分の居場所を手にするいちばんよい方法だと考えている。その結果、大人になっても、かつて親に対してそうであったように、誰かに「関心を持ってもらいたい」という願いを持ったまま、役割を演じ続ける傾向が見られる。

そのような「いい子」を演じ続ける子がいる一方で、すべての子どもが前向きな自己をつくり出すわけではない。多くの子どもが、失敗や怒り、精神障害、精神的不安定といった悲惨な役割を演じているのはどうしてなのだろう。

実際、すべての子どもに、自制しながらほかの人とうまく交流できる能力が備わっているわけではない。それが答えの1つだ。遺伝的および神経的特徴によって、建設的な行動のかわりに、衝動的な反応をしてしまう子どももいる。

精神的に未熟な親が、うやむやなままの「役割としての自己」やヒーリング・ファンタジー(いつの日か幸せになれるという希望に満ちた物語)を描いているために、複数の子どもを無意識のうちに利用することがよくある。これがもう1つの答えだ。

たとえば、ひとりの子どもを、非の打ちどころがない理想の子どもとして溺愛し、ほかの子どもには、親をわずらわせてばかりいる無能な子というレッテルを張るなどだ。

親の求める役割を積極的に演じる子ども

子どもが「役割としての自己」をつくり出さざるを得ないようなプレッシャーにさらされる、分かりやすい例が、自信のない親だ。

子どもの依存心や不安感をあおることによって、自分を子どもの人生の中心に置こうとする。「やっぱりわたしがいなきゃダメね」ということだ。

父親の例としては、自分の無力さを持てあまし、息子を見下すことで強さを感じようとする(「自分だけがおまえたちを導けるんだ」)。

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