「らんまん」「VIVANT」今期ヒット作の隠れた共通点 今の日本人の潜在意識くすぐるテーマがあった

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大学、ひいては国家のルールと、自分が本当にやりたいことが折り合わないとき、どちらを選ぶのか──万太郎は迷う。明治政府が発した合祀令によって神社の森が伐採され、そこでしか生息できない貴重な植物が絶滅の危機に面したとき、万太郎は、植物を守ることを選ぶのだ。国から援助をもらっている国立大学は、国の政策に反対はできない。だから万太郎は大学を去る。 

令和5年、2023年のいま、明治神宮外苑の樹木が伐採されようとしていて、反対の声をあげている人たちがいる。そして、海の向こうでは、領土をめぐるウクライナ戦争が続き、終わりが見えない。

『らんまん』が今、心に響くのは、テレビを見ている私たちの周りで起こっていることと内容が重なりあっているからではないか。今、まさに可視化されている「人間の欲望」をドラマによって一層痛感するのだ。

同じく人間の欲望にフォーカスした「VIVANT」

“人間の欲望”にフォーカスしたドラマがほかにもあった。先頃、大ヒットして、続編も期待されている日曜劇場『VIVANT』(TBS系)である。

これもまた、奪い奪われ合う物語であった。中央アジアの一国バルカ共和国(架空の国)に潜入捜査で入国していたベキこと乃木卓(役所広司)は、40年前、日本政府に見捨てられ、妻を失くし、息子の憂助(堺雅人)とは人身売買され生き別れになる。

テントという組織を作り、紛争などで行き場を失くした子どもたちを助ける活動を行い、その資金のために、高純度のフローライトの埋まった土地を購入するが、この貴重な資源をバルカと日本が狙い、奪い合いに発展する。

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