子のスマホ履歴、親はどこまで見ていいの? 親子間で「プライバシーの侵害」は成立するか

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「いかがわしいサイトを見ていないか、あるいは何かの被害にあっていないかを確認するために閲覧履歴をチェックすることは、親権に基づく親の権利であり、義務でもあります。したがって、プライバシー権の侵害にはあたらないでしょう」

そうはいっても、14歳という多感な時期に、親に閲覧履歴をチェックされるのは、かなり恥ずかしいのでは……。

親権に基づく義務の目安は18歳未満

「最初にするべきは、履歴チェックよりも、有害サイトにアクセスできないようにする『フィルタリング』でしょう。

『青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律』(2009年4月施行)でも、18歳未満の子どもが使うスマホ等の契約をする場合には、保護者はその旨を契約先に告げるよう定められています。

また、契約先は保護者から『フィルタリングサービスを利用しない』という申し出がないかぎり、フィルタリングサービスを付けることも義務付けられました。

ある程度は、このサービスで子どもを守れると思います。親が、さらに閲覧履歴をチェックする必要があると考えても、それは親権に基づくものであり、子どものプライバシー権の侵害にはあたらないと思います」

では、子どもが高校生や成人であった場合は、どうだろうか?

「この法律は18歳で区切られていますので、18歳がひとつの目安となりますが、やはり親子間の信頼関係が大事ですから、よく話し合って決めたほうがいいでしょう。

しかし、20歳を過ぎれば子は親の親権に服しませんので、親が閲覧履歴をチェックすることはプライバシー権の侵害となりかねません。そもそも、子どもが自分で携帯電話の契約をすればよい年齢かと思います」

浮田 美穂(うきた・みほ)弁護士
2002年、弁護士登録。2010年、度金沢弁護士会副会長。2011年から、石川県子ども政策審議会児童福祉部会委員。著書に 「ママ弁護士の子どもを守る相談室」(2013年、一万年堂出版)。
事務所名:弁護士法人兼六法律事務所
 
 
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