EV首位テスラを猛追、急成長する中国BYDの実力 利益や販売台数は倍増。日本でも攻勢強める

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BYDは1995年に中国・深圳市で創業し、携帯電話向け電池事業を展開してきた。2003年、中国の国営自動車メーカーを買収して自動車事業に参入した。昨年3月にはガソリン車の生産を終了し、以降、乗用車はEVとプラグインハイブリッド車(PHV)のみを製造・販売する。

BYDの業績拡大を牽引しているのは車載電池を含む自動車事業だ。2023年上半期(1~6月期)の全社売上高は前年同期比72.7%増だったが、自動車事業が91.1%増、祖業のモバイル事業は24.4%増だった。今やBYDの売上高全体に占める自動車事業の比率は80%に達する。

儲けるのが難しいEVで営業利益率は6%

2023年第2四半期の販売台数は70.3万台。前年同期比98.2%増、つまり1年前の2倍になった。前述したようにガソリン車の販売はなく、EVとPHVのいわゆる「新エネルギー車(NEV)」のみでこれだけの販売台数をたたき出す。

このうちEV(乗用車)が35.2万台(同95.3%増)、PHVが34.8万台(101.1%増)。EV専業のテスラの同じ期間の販売台数が46.6万台(同83%増)なので、EVだけで見てもテスラに迫りつつある。

国がNEV普及を強力に後押しする中国市場が主力であることがBYDの追い風になっていることは間違いない。ただし、(EVに限らず)自動車の値下げ競争が過熱している中国の市場環境は決して良好とはいえない。

そうした中、2023年第2四半期の営業利益率は6.1%。一般に電池コストがかさむEVは儲けることが難しいとされるが、しっかりと利益を上げている。

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