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「かくれフードロス削減」目指すベンチャーの奮闘 独自の機械で「おいしく長持ち」パウダーに加工

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「すごいベンチャー100」2023年最新版から注目の7社をピックアップ。「食品・農業」領域からは、独自開発の装置で「かくれフードロス」の削減を目指す「ASTRA FOOD PLAN」を拡大記事で紹介する。

加納代表(左)は東京・日本橋に本店を構える老舗和菓子店で新ブランドの立ち上げにも従事。父の開発した技術を基に過熱蒸煎機(右)を開発した(写真:ASTRA FOOD PLAN)

特集「すごいベンチャー100 2023年版」の他の記事を読む

9月11日発売の『週刊東洋経済』9月16日・23日合併号では、「すごいベンチャー100 2023年最新版」を特集(アマゾンの購入ページはこちら)。注目の100社(2023年最新版・全リストはこちら 9月8日15時公開予定)の総力取材記事に加え、10年後の日本を占ううえで欠かせない「スタートアップ市場の最新トピックス」を網羅する。

※この記事は9月16日5:00まで無料会員登録でお読みいただけます。それ以降は有料会員向けとなります。

「かくれフードロス」を削減する。そんな野望を掲げ、加納千裕代表が創業したのがASTRA FOOD PLAN(アストラフードプラン)だ。

「かくれフードロス」とは、食品工場で発生する野菜の芯といった食品残さなどを指す同社オリジナルの言葉だ。

同社が機械メーカーと共同開発した「過熱蒸煎機」を使えば、こうした食品残さなどを栄養価や風味を落とさずに乾燥させ、パウダー状に加工できる。

2月には大手外食チェーンの吉野家ホールディングス(HD)と、ベーカリーチェーンのポンパドウルとの共同プロジェクトを実施した。過熱蒸煎機を使って、吉野家HDの野菜加工工場で発生する牛丼用のタマネギ端材から「タマネギパウダー」を製造。ポンパドウルではこのパウダーを使用したパンを開発、全国で販売した。

年間2000万トン超がロスに

一般に認知されているフードロスは本来食べられるのに廃棄される売れ残りや食べ残しを指し、日本では年間約523万トン発生している。一方、フードロスに含まれない野菜の皮や芯などの食品残さ、 生産地で発生する規格外農作物といった「かくれフードロス」の量は年間2000万トン以上にも及ぶ 。

こうした食品廃棄物や規格外の野菜は肥料として再利用されたり、生産者個人が直売したりするなど活用方法が模索されてきた。ただ、廃棄する以上にコストがかかることもあり、なかなか活用が進んでこなかった。

例えば、吉野家HDで発生するタマネギの端材は1日当たり700キログラム、年間約255.5万トンにもなる。再利用しようにもタマネギには抗菌性があり、堆肥化もしにくい。この廃棄に年間500万円超もの費用がかかっている。

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