ラーメン「背脂多め有料騒動」からわかる5つの事 ラーメン屋で「炎上」が相次ぐのには理由がある

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「背脂多め」のみならず、ラーメンをめぐる炎上は、しばしば起きている。そこで今回は、なぜラーメン店での騒動が、ネットで話題になりがちなのか、5つの観点から説明してみたい。

その1「ラーメンネタは、誰でも参加できる」

おそらく、ほとんどの読者は、ラーメンを食べたことがあるだろう。経験がないにせよ、どういった料理かは知っているはずだ。それだけの「国民食」だからこそ、会話には事欠かない。自宅でのインスタント調理がメインで、あまり外では食べないとしても、しばしば話題になる「1杯に1000円払えるか」の議論には、手ぶらでも参戦できる。

商品としての「ラーメン」だけでなく、公共の場である「ラーメン店」でのマナーも、論争になりがちだ。よく新幹線などの交通機関で、周囲を顧みない客の「迷惑行為」が話題になるが、それと同じくらい身近な存在と言えるだろう。

「誰もが知っている」ことがカギ

「誰もが情景を思い浮かべられるか、否か」は、どこまで炎上するかを予測するうえで、ひとつの尺度になる。回転寿司チェーンでの「醤油ペロペロ」があれだけ話題になって、衛生面での非難が相次いだのは、多くのネットユーザーが過去に訪れた経験があって、それなりの解像度で「どんな環境か」を思い出せたからだろう。その点、ラーメン店でのアレコレは「脳内再現性」が高く、だれもが雰囲気を共有できる。

その2「枝葉が広がりやすく、論点がズレがち」

議論への参入障壁が低いと、裏を返すと、話題を展開しやすい。「背脂論争」であれば、話題の中心は「トッピングの価格設定と、その周知方法」にあるはずだが、SNSで拡散されたゆえに、「店名を出さないにせよ、わざわざツイート(ポスト)する必要はあったのか」といった論点も生まれてしまった。

ネットメディアを中心に、各社が取り上げることで、新たな物差しも出てくる。投稿者は約1.5万人のフォロワーを持っていたことから、各社記事では「インフルエンサー」として報じられている。そこに「1万5000人でインフルエンサーと呼べるのか」といった指摘が生まれてしまえば、論点がよく見えなくなってきてしまう。

これはラーメンに限った話ではなく、有名人のインスタやYouTube発言などのネタでも同様だ。「これは本当に『炎上』なのか」「『賛否両論』って書いているけど、どう考えても『否が大多数』だろ」などなど……。筆者も含めて、邪推が習慣になっているネットユーザーは珍しくない。なにもワザと、うがった見方をしようとしているのではなく、反射神経的にツッコミを入れてしまうのだ。

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