時給8000円を稼ぐ「ビール売り子」の超仕事術 「球場の華」が緻密に組み立てる3つの戦略

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歩合制により3時間で3万円稼ぐ売り子も

魅力の1つは、頑張った分だけ得られる、歩合制の給与システムだ。球場や契約している酒店にもよるが、給与体系は大きく分けて以下のような内訳だ。

  • 固定給=出勤したことによる手当。ごく少額(交通費500円という名称のこともある)
  • 歩合給=1杯○円、1杯の販売価格の○%がフィードバックされる。販売杯数が増えていくと、歩合の単価が上がったり、ボーナスが支給される
  • 連続勤務給=野球が3連戦でその3日間連続で出勤すると手当追加
  • 皆勤ボーナス=毎月全試合出勤するとボーナス追加

こうした各種成果給が組み合わさっている。歩合給の世界と言われる給与体系である。

では、一体この過酷な現場で、この給与体系で、「何杯売って」「いくら稼いでいるのか」。気になるところだろう。

最近、テレビでよく見かけるタレントの「おのののか」さん(プラチナムプロダクション所属)は、以前ビールの売り子さんだったという経歴がある。彼女も、以前は東京ドームで伝説的な販売結果を残したと有名だ。

本人の発言によれば、彼女の公式記録は1日に400杯。筆者は、リアルな売り子さんへのインタビューやネットでの情報を探してみたが、400杯というのは、どうやら圧倒的な数字のようだ。

通常は、初級者は50~80杯。1日100杯前後、これが経験者の中での“平均的な売り子”さんだ。結果、1日の報酬は、9000円前後。時給にすると、2,000~3,000円となる。

これが、各球場に数人は存在する、トップ売り子さんになると、200から多いときで300杯売る。すると1日に2万~3万円稼げる。時給にすると5,000~8,000円だ。これは、「とても」いや「かなり」高い給与水準ではないだろうか。

月収、年収まで追ってみよう。月に、12日(3連戦を4回、毎週金曜~日曜)出勤するとすれば平均的な売り子さんは、月収10万8千円。これも悪くない。トップ売り子さんは、日収2.5万円とすれば、月収30万円だ!

時給だと、大企業の役員クラスと遜色ない時給を叩き出していることになる。年収で比較すると、企業の主任~課長と同じレベルなのだ。

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