米共和党の星「トランプ2.0」は38歳インド系富豪 米大統領選で大躍進したダークホースの正体は

✎ 1〜 ✎ 476 ✎ 477 ✎ 478 ✎ 最新
拡大
縮小

この看板は、トランプ氏が2016年のアメリカ大統領選で勝利した際、リベラル側からのアンチテーゼとして象徴となったが、例えば、ラマスワミ氏の10の真実のうち「神は実在する」の部分は、この7つの信条の「科学は実在する」に類似する。また、「性別は2つのみ」は、後者の「女性の権利は人権」に呼応するという。

ラマスワミ氏は「10の真実」について自ら15分で思いついたと説明しており、リベラル派の7つの信条とは関係がないとの立場を取る。しかし、仮に意図して10の真実を打ち出したのであれば、リベラル派を挑発しつつ、保守派の心理に訴えかける作戦として奏功したと言えよう。

ラマスワミ氏は単純明快な選挙公約に加え、巧みな演説、切れ味鋭いトーク、自信に満ちた語り口と合わせ、着実に保守派の支持を獲得しつつある。8月23日に開催された共和党候補の第1回討論会では、冒頭から「スーパー特別政治活動委員会(PAC、政治資金団体のこと)の操り人形か、真実のみを語る愛国者か」と視聴者に問いかけ、自己資金で選挙戦を戦う自身と他候補との違いを際立たせた。

舌戦を通じて討論会で脚光を浴びる

マイク・ペンス前副大統領が「ルーキー」と切り捨てても一切動じず、その他の候補者との舌戦を通じ、スポットライトを一身に浴びることに成功。保守系メディアのFOXニュースやリベラル系のアクシオスはそろって、ラマスワミ氏が最も攻撃された証左として「(他の候補の)最大の避雷針になった」との見出しを掲載したものだ。

実際、NBCニュースによれば、第1回討論会でラマスワミ氏は、ペンス氏やニッキ・ヘイリー元国連大使などから11回も批判を受け、最多だった。

手元資金が豊富な共和党候補

さらに、「トランプ氏が有罪になったとしても、正式な共和党候補として指名されれば支持するか」との質問に、ラマスワミ氏は真っ先に挙手し、トランプ派へのアピールも忘れない。筆者の友人でニューヨーク在住の無党派層のアメリカ人男性(52歳)は、ラマスワミ氏を「オバマ氏の雄弁さと、トランプ氏の中身を併せ持った強力な新人」と評価する。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT