日経平均が秋に本格上昇するためのカギは何か ジャクソンホール後のヤマ場は11月までに来る

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では、今後のマーケット関係者の注目点は何か。パウエル議長は「データ次第」としているので、まず9月1日に発表される同国の雇用統計、13日のCPI(消費者物価指数)、19~20日のFOMC(連邦公開市場委員会)となりそうだ。  

こうした中、多くのマーケット関係者は、FRBが次回を含めた3回のFOMC(9月19~20日、10月31日~11月1日、12月12~13日)のどこかで0.25%の追加利上げを1回するとみている。もちろん、データ次第なので「1回も追加利上げなし」「2回以上の利上げ」の可能性もゼロではない。

当面、利下げは遠退いたように見える(早くても利下げは来年の前半か)が、もし追加利上げがあっても、「今度こそ最後の利上げになりそうだ」との見方が強まれば、日米の株式市場はポジティブに反応するとみている。

つまり、今後はいつアメリカの利上げが終わる(≒同国の長期金利がピークアウトする)のかを見極める局面になる。もし、9~12月のどこかで株価が調整していれば、それは絶好の買い場となるだろう。

今秋最大の焦点は「米中関係の改善」

一方、アメリカの利上げと並んで、今秋の市場に最も影響を与えそうなのは米中関係の動向だ。「G7広島サミット」(5月19~21日)では「リスク低減(de-risking)と多様化が必要」としたが、サミット後は、アメリカが中国との今後の関係を探ろうとするかのように、同国の閣僚など要人の訪中が相次いでいる。主なものは以下のとおりだ。

・6月16日、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が習近平国家主席と北京で会談。王毅共産党政治局員と秦剛国務委員兼外相も同席。
・6月18日、アントニー・ブリンケン国務長官が秦剛国務委員兼外相と北京で会談・夕食会。19日には外交トップの王毅共産党政治局員と北京で会談、さらに習近平国家主席と北京で面会。習氏は軍事対話の再開を拒み、外交儀礼上、異例の席配置で応対し、自らの威光を演出。
・7月7日、ジャネット・イエレン財務長官が李強首相と北京で協議。8日には経済担当の何立峰(ハァ・リーファン)副首相と北京で会談。
・7月17日、ジョン・ケリー大統領特使(気候変動問題担当)が解振華・気候変動問題担当特使と北京で会談。18日には王穀共産党政治局員や李強首相と北京で会談。
・7月18日、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官(100歳)が軍高官の李尚福国務委員兼国防相と北京で会談。19日には王穀共産党政治局員と北京で会談。20日には習近平国家主席と北京・釣魚台国賓館で会談。

前回の記事「日本株は日銀金融政策決定会合後にどう動くのか」(7月27日配信)でも述べたように、今後の焦点は11月15~17日にサンフランシスコで開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)での米中首脳会談が実現されるかが大きなカギを握っているといえそうだ。

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