背水の陣プロントが始めた「昭和なネオ酒場」 30年カフェ&バーのスタイルを守ってきたが…

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コロナにより飲み利用が減少したことが要因だが、リモートワークの普及により、打ち合わせ場所としての利用や、相手先の訪問前にスキマ時間を潰すための利用も減ったという。

つまり従来のやり方では「二毛作」が困難になってきたことが、思い切った業態変換の背景にある。

しかし実のところ、遅すぎたとも言える。というのも、アルコール業態は時代の影響を大きく受けるからだ。例えば居酒屋は総合居酒屋の時代が終わり、専門店化へと進んだ。さらにコロナの影響を受け多様な変化が生まれている。

「昼と夜の顔の切り換え」

「何かのついでに気軽に立ち寄れるところに価値があり、これまでバータイムは0次会、2、3次会の需要が高かった。しかし今はそうした需要はなくなっている。従来のような機会来店型のビジネスから目的来店型へと切り換える時期が来ていた。30年以上続いた業態の変更は、もともと構想としてはあったが、業績落ち込みがきっかけになった」(藤原氏)

新たなプロントは、業績落ち込みを食い止め、変化する時代に選ばれるブランドでなければならない。そこで同社が出した答えが「キッサカバ」だ。

業態転換にあたってまず重視したのが、「昼と夜の顔の切り換え」だった。

従来は、昼と夜のメニューも同じ、店の雰囲気も照明がちょっとダウンするぐらいで、大きな変化は感じられなかった。実のところ筆者自身、プロントのイメージは「パスタがあるカフェ」「お酒を出すカフェ」という認識で、昼と夜で業態を変えていることに気づいていなかった。

かなり固めのクラシックプリン(495円)。期待通りの固さだ((撮影:今井康一))

今はまず、夜目に白く際立つ大きなのれん、看板ライト、ネオンなど、見た目から「酒場タイム」になったことがはっきり伝わるようになった。

またメニューも、クリームソーダやプリンなど一部共通メニューもあるものの、昼と夜で明確に切り換えた。

居酒屋の定番おつまみのほかに、ピザ、ナポリタンなど、喫茶店らしいメニューを新たに開発。昼のカフェタイムのメニューとは異なり、ちょっと「ジャンク」な感じのものが多い。例えばナポリタンの麺やソースについても、カフェメニューとまったく違う食材を使っているという。

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