やっぱり日本株の「正常化」がじわじわ進みそうだ 「ツーリスト投資家」の売りに惑わされるな

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投資家別の動向で述べると、上で挙げたような買いの口実を信じてしまった「ツーリスト投資家」が、7月初めまでに日本株を大いに買い上げたと考える。ツーリスト投資家とは、日本を観光目的で訪れる外国人と同様、日本のことをよく知らずに日本株に投資し、長期的に信念を持って日本株を保有し続けるのではなく、何かあればさっさと本国に資金を返しかねない投資家のことだ。

また、そうした買いの動きに先回りして、株価指数先物を買い上げた短期筋も多かっただろう。

一方、年金などの海外長期筋は、決して日本株について悲観的なわけではなく、積極的に売っているわけでもない。ただ、「日本企業が構造改革を行う」「日本経済が健全なインフレに移行する」と言われても、それを直ちに否定はしないが、過去ずっと日本ができなかったことが本当に今回は達成できるのかどうか、じっと観察している、という状況だと聞く。

足元の日本株は「ツーリスト投資家」の売りが目立つ

そして、ろくに日本を理解せずに日本株を大いに買い上げたツーリスト投資家たちは「日本企業の構造改革が遅い」と無理難題の難癖をつけて、足元では日本株を売りに回っているようだ。実際のところ、8月第3週(14~18日)では、海外投資家は日本株を現物と先物の合計で8351億円売り越した。

4月以降の日本株の上昇局面で見ると、週間でこれまで最大の売り越し幅となったのは8月第1週の3782億円で、それをはるかに凌駕する売り越しだ。

海外投資家からの注文を受ける証券会社のデスクでも、「例年の夏休み期間で、海外投資家からの買い注文が細る時期を過ぎても、今年は買い注文があまり出てこない、夏休みを長くとっているのだろうか」と首をひねる向きが多いと聞く。これは夏休みが長引いているからではなく、浮かれて日本株を買ったツーリスト投資家が、今度は売りに回り続けている、という事態なのだろう。

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