超一流は「他人の評価」なんて全く気にしない ACミラン本田圭佑に学ぶ「苦境から立ち直る力」

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ある選手がACミランに加入してすぐのこと、身体能力の高いACミランのFWの選手を見て、ふとこんな感想をもらしました。

「こんなに身体能力に優れていて、それを使いきれていないなんて『神様は平等だな』と僕は思いますよ」

あなたはこの発言、どういう意味かわかりますか?

アフリカやヨーロッパの選手と比べると筋肉量や跳躍力など、努力では埋められない差が日本人にはあります。たしかに、「不平等」と言いたいところです。しかし、それは肉体的な面だけに目を向けているからにほかなりません。

幸いにもサッカーは、身体能力だけで戦うスポーツではありません。頭脳を必要とするスポーツです。ずば抜けた身体能力がなくてもそれ以上のもの、つまり「考える力」や「判断する力」があれば、まったく引けを取らない選手になれるのです。

彼の発言の真意は、「身体能力がアフリカや欧州の選手のようでないからこそ『考える力』を神様は与えてくれたのだ。自分を卑下して、隣の芝生が青く見えてしょうがないような選手は戦えない。むしろ自分が持っているものを伸ばすことしか考えない」ということではないでしょうか。

この思考を持っているからこそ、「神様は平等だな」という言葉が出たのでしょう。

他人の評価を意識せず、自分の能力をどのように伸ばすかを考えれば、ずば抜けた運動能力がないなどということは、問題にはなりません。かえって運動能力があるためにそれに頼ってしまい、それ以上に向上しようとしないため、行き詰まってしまう選手はたくさんいるのです。

「考える力」が超一流を作る

実際、「身体能力」という才能しかない選手は、一定の歳までは結果を出しますが、30歳を過ぎた頃から、限界を感じ始め、すぐに引退を決意します。逆に、思考力という才能を持ったタイプの選手は30歳を超えてもしっかり活躍し続けていますし、経験をフルに利用して伸びる選手もいます。

カフー、マルディーニ、ディダ、コスタクルタ……彼らは身体能力以上に「考える力」があったからこそ、35歳でもバリバリの現役選手でしたし、最後まで超一流の看板を維持していたのです。

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