三菱自が「トライトン」にかけた復活への思い 〝らしさ〟復活へタイ工場刷新、日本へ再上陸

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まず目をひくのが全身から力が漲るような外観だ。三菱が新しいアイデンティティとして使い続けているダイナミックシールドと呼ばれるフロントマスクの意匠テーマが、スクエアで武骨さもあるデザインとうまく溶け合っていて、個性と押し出しの強さにつながっている。

三菱の新しいアイデンティティとなっているダイナミックシールドと呼ばれるフロントマスクが押し出しの強さにつながっている(写真:三菱自動車工業)

先に出た「デリカミニ」もそうだったが、ダイナミックシールドの使われ方に柔軟さが出てきて、ようやくこなれてきたという印象を受ける。

強い存在感は、サイズアップのおかげでもある。全長5320mm×全幅1865mm×全高1795mmというサイズは先代よりも全方位にひと回り大きい。

実際のところ先代はライバルに対して荷室が狭いことがネックになっていたという。今回の新型は9年ぶりの登場ではあるが、実際にピックアップトラックでは今も一般的なフレーム構造を持つプラットフォームのレベルでは、これが2世代ぶりの更新ということで、ようやく周囲に追いつくことができたのだ。

自社開発とアライアンスの使い分け

この車体は完全新設計。ルノー・日産とのアライアンスによるものではなく、自社開発である。

それだけじゃない。搭載する直列4気筒2.4Lディーゼルターボエンジンも、やはり三菱よる新開発ユニットとなっている。組み合わされる4WDシステムはスーパーセレクト4WD-Ⅱと呼ばれるもので、2WDと4WD、さらにローレンジを切り替え可能とする。

新開発の直列4気筒2.4Lディーゼルターボエンジン(写真:三菱自動車工業)

また、旋回中のフロント内輪に軽くブレーキを掛けて車体を一層曲がりやすくするAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)も標準装備。これらのシステム、そしてネーミングは往年の「パジェロ」、あるいは「ランサー エボリューション」といったモデルに親しんでいた人にとっては、馴染み深いものに違いない。

一方で電子コンポーネントについてはアライアンスのリソースを活用している。インフォテインメントシステム、運転支援装備などは、実績あるものを使ったというわけだ。

アライアンスについて言うならば、日産自動車にはピックアップトラックの「ナバラ」があり、同じくタイで生産を行っている。ナバラはルノー、そして一時期はメルセデス・ベンツにも供給されていたので実績もある。でも、トライトンはナバラのOEMにはしなかったた。

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