三菱自が「トライトン」にかけた復活への思い 〝らしさ〟復活へタイ工場刷新、日本へ再上陸

✎ 1〜 ✎ 145 ✎ 146 ✎ 147 ✎ 最新
拡大
縮小

加藤社長によれば、生産クオリティは国内の岡崎、水島とも同水準にあるという。新型トライトンはここから世界に送り出されるのだが、その中には今回、日本も含まれている。実に12年ぶりの市場投入である。

そのサイズもあり、数として大量に売れるクルマではないだろう。しかしながらコアなファンに指名買いしてもらえるようなクルマになれる可能性は十分にある。現在はトヨタがハイラックスを導入しており、安定した販売を続けている。チャンスはあるはずだし、何よりイメージ的な効果は大きい。

「トライトンにはシングルキャブからダブルキャブまでいろいろなタイプがあります。久々の日本市場投入の目的はブランドイメージのアップ。なのでハイエンドの、ラグジュアリーとは言わないけれど、少し高いブランド価値を認識してもらえるようなモデルを入れたいと考えています」

加藤社長は言う。おそらく上陸するのは2列シートのダブルキャブで、装備も充実した仕様となるに違いない。

取り戻しつつある“三菱らしさ“

一旦はブランド力が地に落ち、またルノー・日産とのアライアンスに入ったことで、独自性や個性についても薄まった感が否めない時期を過ごしてきた三菱。しかしながら現体制になって遂に、結局のところ“これが三菱自動車のクルマなんだ”と自信をもって送り出せる製品こそがブランドを救うというところに行き着いたようである。

クルマ作りはどうやら変わってきた。あとはまさに売り方、そしてブランド作り、ファン醸成をどのように進めていくか。ようやく新たな船出となった感のある三菱の今後は、ちょっと面白くなりそうだ。

この記事の画像を見る(39枚)
東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら
島下 泰久 モータージャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT