保守党大勝!イギリスはEU離脱に向かうのか 英国総選挙の予想外の結果が欧州揺さぶる
5月7日に投開票が行われた英国の総選挙は、デイヴィッド・キャメロン首相率いる与党保守党が単独過半数を獲得し勝利した。保守党は選挙前(302議席)を上回る330議席を獲得し、1992年のメージャー政権以来の単独与党となった(下院定数は650)。一方、野党第一党である労働党の議席数は232議席に止まり、同党のエド・ミリバンド党首は党首辞任を表明した。
エリザベス女王は、大勢が判明した8日の午前11時半にキャメロン首相をバッキンガム宮殿に招き、組閣を要請した。今後は5月18日に新議会が招集され、27日には新政権の施政方針演説となる女王演説が行われる予定である。
SNP躍進に危機感を持つ有権者が保守党支持へ
そのほかの政党では、スコットランドの地域政党で、昨年9月の独立を巡る住民投票で大健闘したスコットランド国民党(SNP)が大勝した。事前予想通りながら、同党は、スコットランドの全59議席のうち56議席を獲得している(選挙前は6議席)。下院第三党となった SNPの影響力は、今後も高まることになろう。
一方、保守党と連立を組んでいた自由民主党の議席数は8議席に止まり、議席数を大きく減らした(選挙前は56議席)。英国からの独立を党是とする英国独立党(UKIP)も獲得議席は1議席に止まった。各選挙区のトップ当選者しか議席を獲得できない、英国の単純小選挙区制という選挙システムに、その伸長を阻まれた。ただし、UKIPの得票率は12.6%と、保守党・労働党に続く第三位であり、獲得票数ではSNPを上回っている。
選挙前の世論調査では、保守・労働両党の支持率は最後まで拮抗し、どの党も過半数を取れない「ハングパーラメント(宙ぶらりん国会)」になると予想されていたが、今回の結果はそうした事前予想を覆した。
保守党が予想外の大勝を収めた背景には、SNPの躍進がある。選挙前の情勢分析では、労働党が過半数を得られずに第一党となった場合、第三党のSNPがキングメーカーとなって、同党に支えられた労働党政権が誕生するとの観測があった。
このため、SNPが労働党を通じて政権を主導することを嫌ったイングランドの有権者が、最終的に保守党支持に回った可能性がある。事前の世論調査に保守党有利の傾向が反映されなかったのは、「SNP不支持という理由での保守党支持」を表明することをイングランドの有権者が躊躇した結果かもしれない。
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