大谷翔平がテレビCMで「圧倒的人気」を集めるワケ CM好感度調査で現役アスリート初のトップ10入り

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野球選手のCMでは7月前期、ラーズ・ヌートバー選手が出演するインターメスティックの「Zoff」のCM好感度が、全作品2075作品中の2位にランクインした。CM中にヌートバー選手のお母さんが出ているほんわかしたCMだ。ヌートバー選手は森永製菓やZoffに加え、ほか2、3社からもCM出演のオファーがあったと報道された。

大谷選手やヌートバー選手を見ていると、個人的な印象だが気負いとか、日本を背負うとかいった力みが感じられない。最初から世界を目指していたからなのだろうか、リラックスした印象を受ける。

現役ではないが、イチロー選手もCM好感度ランキングで常に上位にいる。上半期はタレントランキング80位(2022年度は48位)につけた。

野球選手(OB含む)出演のCM放送回数が回復

実は野球選手(OB含む)が出演するCMの放送回数は徐々に増えている。正確に言うと盛り返している。年間放送回数を合計すると、2001年から2009年にかけて年間2万回を超えることも多かったが、リーマンショックなどを機に急速に下がり2014年には5600回にまで落ち込んだ。その後徐々に増加。コロナ禍などで落ち込みをみせたが、2022年は1万3993回に回復した。

テレビCMは一昔前「あこがれ」を売る世界だったが、最近は親しみとか生活者のマインドを重視する傾向にある。野球選手を起用したCMでも「タフさ」を前面に出すよりも、消費者に幅広く愛される「タレント性」を狙っているケースが目立つ。

日本を代表するクリエーターの一人、前東北新社社長の中島信也氏は「最近ブランド構築に対する考え方が商品だけでなく、会社全体のイメージへと、企業側の考え方が変わってきた。世の中の変化、人々の心の変化が大きくなり、社会に愛されないと生き残れないんじゃないかという危機感は強くなった」と指摘する。

確かにCMに出演する野球選手は、社会に愛されるタレント性も必要なようだ。

関根 心太郎 CM総合研究所 代表

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せきね しんたろう / Shintaro Sekine

1973年生まれ。1999年株式会社東京企画/CM総合研究所に入社。システム開発・データベース構築の責任者を経て2014年より現職。消費者3000人を対象としたCM好感度調査を中心に、テレビCMの広告効果測定および研究分析を実施。このほか企業へのコンサルティングや情報提供を通して、広告活動の最適化に向けた課題解決のサポートを行っている。

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