女子バレー・中田久美、五輪敗退後の苦悩と再起 半年実家に引きこもりから、大学院で学ぶ道へ

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過去にはアーティスティックスイミングの井村雅代監督が中国代表ヘッドコーチとして手腕を発揮。現在も元女子サッカー日本代表の本田美登里監督がウズベキスタン女子代表監督として指揮を執るなど、日本人女性指導者が世界に出ていった例はある。中田さんに白羽の矢が立ってもおかしくないだろう。

現場での指導は今のところはない

「正直言うとオファーはありました。でも自分にはまったく楽しそうに思えなかった(苦笑)。今も海外で指導したいという気持ちはないですね。監督をやっていた時は大会中、眠れないし、食べられないし、どんどん消耗していったので、『もう1回、あれをやるの?』っていう気持ちになってしまう(苦笑)。無責任なことはできませんし、今のところはないと思います」

現時点で現場復帰、海外進出の考えは皆無だというが、中田さんならばバレーボール界、スポーツ界のためにできることは少なくないはず。東京五輪での挫折と落胆、そこからの2年間も含めてフィードバックできることはたくさんあるだろう。

これまでトップを走り続けてきた彼女には、日本の女性スポーツ全体のレベルアップ、環境改善のために、ぜひとも力を尽くしてほしいものである。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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