日本人女性唯一の公認サファリガイド誕生の裏側 太田ゆかさん「生涯サバンナで働きたい」

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もちろん、鉱山開発や農地の開拓などは、南アフリカの経済成長のために紛れもなく必要なこと。

人間が生きるための活動なので一概に「悪いこと」と決めつけることはできません。

「こうすればすべてが解決する」という画期的な方法はないので、サバンナで働く私たちにできるのは少しでも人間と動物双方の被害を減らすための応急処置です。

例えば、アフリカゾウの行動をGPSでモニタリングして、人里に出てしまいそうになったら村にアラートを出したり、ヘリを飛ばしてサバンナの中に誘導したりします。

このようなサバンナで起きている問題は、ここで生産された農作物などを消費者として手にしている以上、日本人にとってもひとごとではありません。

簡単な解決策はないからこそ、まずは「知る」ことが大切だと思います。

サイが密猟者に狙われる原因になる角を切り落とす作業(画像:woman type編集部)

最近は、同僚のサファリガイドや獣医さんたちにも、積極的にSNSの発信をしている人が多くいます。

私自身も、ここで働き続けることで、少しでも日本とサバンナをつなげる存在になれたらと思い、発信に力を入れ始めました。

まずは、先ほどお話しした「アフリカゾウにGPSをつける」活動を成功させて、クラウドファンディングを通してご支援いただいた日本の方々に良い報告を届けたいです。

ほぼ無収入。でも、やりたいことを追求したい

私がサバンナで初めて得た仕事は、ボランティア会社でのサファリガイドでした。

ボランティア会社では、旅行客を相手にする高級ツアー会社とは違い、ほとんどお給料が支払われません。実は、何年間もほぼ無収入生活だったんです。

会社から住居や食事、ユニホームは支給していただけるので、生活に困ることはありませんでしたが、もちろん余分な服や鞄を買う余裕はなく、貯金もできませんでした。

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