「叱らないと、人は育たない」は本当か?驚く結論 「伝説の家庭教師」が「叱るの科学的真実」を解説

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「叱る」。この言葉の意味を辞書で調べると、「(目下の者に対して)声をあらだてて欠点をとがめる。とがめ戒める」とあります。

「とがめる」の意味は、「あやまちや罪を指摘し、非難する。なじる」。つまり、「厳しい口調で、欠点や過ちを非難する」ということ。

私は、企業の役員・幹部向けに雑談・会話から説明・説得、プレゼンまでを学んでいただく、話し方の研修や学校を運営していますが、特に議論がヒートアップするのが「ほめ方・叱り方」のコマです。

多くの幹部の方が、

「厳しく叱られて育てられて、今の私がある」
「今の若い子たちは、少しでも叱るとすぐ折れる」
「耐性をつけるために、叱られることに慣れておくべきではないか」

などとおっしゃいます。

パワハラ経験からは「モチベーション」は上がらない

私も、これまで、理不尽なパワハラ上司やモンスターカスタマーに何度も遭遇してきました。

ネチネチ嫌味を言う感情に任せて叱りつけるほめることはほぼなく、何やかやとケチをつける……。

そういったパワハラ体質の人たちと接すると、普段会う人たちや日ごろの少々の苦労が、「あの嫌な連中よりはマシ」「あんなつらい日々よりはマシ」と思える側面は確かにあります。

しかし、一方、そのパワハラ経験から、「自分を変えよう」とか「もっと頑張ろう」というモチベーションが生まれたかといえば、それはまったくないわけです。

「とにかくその場を切り抜けよう」という気持ちだけであって、「そんな嫌な上司のために頑張りたい」とも到底思えない

「成長を実感」する機会にはまったくなりませんでした。

次ページ脳科学的・心理学的でも「叱る」はNG!
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