メタの「Threads」が新規性ゼロでも価値ある理由 Twitterにはない「配慮」に見える本当の目的

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Instagramは人気投稿者の周辺にファンが集まり、そこに広告市場が形成されている。ただ、人気投稿者(インフルエンサー)を中心としたコミュニティとなりがちで、Twitterにみられるような、多くの参加者が同じように発信し合うフラットなコミュニティにはなりにくい。

“Threads(複数の糸)“が連なるような、深みのあるアイデアやトレンド考察をテキストベースで交換できる場とはいえないだろう。

改善余地はあるがスタートダッシュは成功

スレッズの開発チームが何をしようとしているのか、垣間見える瞬間もある。

スレッズにログインすると、最初の段階では見知らぬ人の、興味のないジャンルの投稿がタイムラインに勝手に表示される。フォローもしていないのに、だ。

ところが友人・知人、あるいは興味のある誰かをフォローし、そのフォローしている相手が発言を始め、また自分自身も投稿をするようになると、時折、見知らぬ人の(しかしまったく興味がないわけでもない)投稿を見かけるものの、フォローしているユーザーの投稿がタイムラインを占めるようになっていく。

つまり、ユーザーが“誰であるか“をシステムが理解していないうちは、的外れなタイムラインが流れるが、ユーザーが使い込むほどに納得感のあるタイムラインに変化していく、とも言い換えられる。どこまでアルゴリズム、AI(人工知能)が効くのか、現時点での予想は難しい。

ただ、Instagramでの成功を下敷きに、より穏やかな、そして見慣れたTwitter型のテキストコミュニティを育てる。その目標に向けて、スタートダッシュには成功したとは言えるだろう。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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